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シェブロン法理をめぐり、米与野党が相反する法案を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月24日 14時0分

米国連邦議会上院の民主・共和各党は7月23日、6月に連邦最高裁判所が示した、曖昧な法律を政府の規制当局が解釈できる法理(シェブロン法理)を無効化する判決(2024年7月4日記事参照)に関し、異なる方向性の法案を発表した。

民主党側は、エリザベス・ウォレン上院議員(マサチューセッツ州)らが、シェブロン法理を事実上復活させる「企業による買収禁止法案(Stop Corporate Capture Act)」を発表した。同議員は、6月の判決について「巨大企業は、選挙で選ばれたわけでもない極右の判事を利用して政府を乗っ取り、議会の意思を損なっている」と批判した上で、「連邦の規制制定プロセスに透明性と効率性をもたらし、企業・利益団体が議会や専門機関による判断を自らの選好に置き換えることがないようにする」ために同法案を提出したと述べた(NBCニュース7月23日)。同法案では、政府の規制権限に関し、(1)規制法は多くの場合、広く解釈できる言葉で表現され、立法時には正確に予見されていなかった技術的、科学的、社会的発展によってもたらされる問題に対処するための権限を政府機関に与えている、(2)政府に広く権限を付与することは、法律が明確に制限しているラインを超えず、許容されない方法で実施されない限り、新しい問題や予期しない問題が発生した場合に効果的な措置を講ずるために必要、(3)このような広い授権の下で制定された規則は、議会が具体的な言葉で許容していないという理由や、過去に同様の規則や規制体系を採用していないという理由で無効とされるべきではない、との認識が示されており、最高裁判決に反論するかたちで政府機関による規制を擁護する内容となっている。

他方、共和党側は、ビル・キャシディ上院議員(ルイジアナ州)が「2024年説明責任基準強化法(Upholding Standards of Accountability Act of 2024)」を発表した。同議員は同法案の意義について、「何十年もの間、行政機関はシェブロン法理を利用して議会の監視を回避しながら議会の意図を超えて権力を拡大してきた」「シェブロン法理が覆された今、議会は行政機関を抑制し、行政機関に国民と議会に対して説明責任を負わせるよう取り組まなければならない」と述べている。同法案では、こうした認識の下で(1)規則が発表されてから30日以内に所管委員会で証言すること、(2)規則の発効から5年以内に費用便益分析に基づくレビューを実施することなどが盛り込まれており、政府による規則制定に対して議会の監視を強化していく方針だ。

バイデン政権は、インフレ削減法(IRA)などに基づく連邦政府による財政支援の実施にあたり、支援の受給要件としてさまざまな規則を定めている。このため、シェブロン法理の行方次第では、こうした支援措置の実施が困難となる場合も考えられ、今後の動向が注目される。

(加藤翔一)

(米国)

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