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米FRB議長、FOMC後の会見で今後の利下げに慎重姿勢示す(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月14日 13時10分

添付資料PDFファイル(230 KB)

米国連邦準備制度理事会(FRB)が6月11~12日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の維持やFOMC参加者による長期見通しなどが示された(2024年6月13日記事参照)。FOMC後の記者会見で、ジェローム・パウエル議長が経済認識や金融政策の方向性について、より詳細な説明を行った。

現状の経済認識に関して、前回のFOMCからの変更点は、(1)設備投資は上方修正、(2)雇用情勢は「労働市場は比較的逼迫しているが、過熱していない状態に戻ったことを示している」として下方修正、(3)物価は5月の消費者物価指数(CPI、2024年6月13日記事参照)などを念頭に、「最近の月次データでは幾らか緩和している」として下方修正の3点となっている(添付資料表参照)。

金融政策については、「経済が順調に推移し、インフレが続く場合、適切な限り、フェデラル・ファンド(FF)金利を現在のレンジのまま維持する用意がある」として、今後の利下げに慎重な姿勢を示した。一方、「労働市場が予想外に弱まるか、インフレが予想よりも急速に低下した場合、対応する用意がある」と述べ、データ次第で会合ごとに決定していく姿勢をあらためて示した。インフレに関しては、上述のとおり認識を下方修正しているものの、「インフレが持続的に(長期目標の)2%に向かっているという確信を強めるためには、さらに良いデータが必要になる」「これまでのところ、データはわれわれにその確信を与えていない」と述べ、現在のインフレ鈍化のペースが利下げには不十分との見解を示した。

質疑応答では、(1)今会合で示されたFOMC参加者の見通しに関し、経済指標と政策スタンスの整合性(注1)や、(2)利下げ開始の判断条件(注2)、(3)現在の雇用情勢についての見解、(4)今後の物価見通しについての見解を問うものなど、幅広い論点について質疑された。

ただ、質疑応答でも、パウエル議長から利下げの開始時点について明確な言及はなく、投資会社ブラックロックのiシェアーズ投資戦略米州責任者のガルギ・チャウドゥリ氏が「インフレが改善し続ければ、9月に利下げする道筋を残していると思う」と述べている(「フィナンシャル・タイムズ」紙2024年6月12日)ように、年内にある9月、11月、12月のいずれのFOMCでも、インフレや雇用に関するデータ次第で利下げの可能性を残しているもようだ。

(注1)例えば、FOMC参加者の長期見通しでは、2024年内にはコアインフレ率が若干上昇することになるが、この状況下で本当に利下げを実施できるのかといった質問があり、パウエル議長は、コアインフレ率2.8%という参加者の見通しはかなり保守的だと述べた上で、この見通しよりも良い結果が得られれば、利下げをできる可能性があると回答している。

(注2)例えば、5月のCPIと同様の結果があと数回得られれば9月に利下げを行う可能性はあるのかといった質問に、パウエル議長は、良いインフレのデータは利下げ判断に資するものの、利下げにはインフレが持続的に2%に低下するという確信が得られているか、対応を要する労働市場の弱さが見られるかなど、さまざまな要因を考慮すべきと回答している。

(加藤翔一)

(米国)

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