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メキシコ最高裁、電力産業法改正は違憲と裁定、大統領は再び憲法改正に言及(メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月6日 1時5分

メキシコ最高裁の第2小法廷は1月31日、電力産業法(LIE)の改正(2021年3月11日同年3月15日記事参照)について、最終的に違憲と裁定した。同改正は2021年3月9日付官報で公布され、その後数多くの民間事業者からのアンパロ訴訟(注1)により適用が差し止められていた。最高裁のプレスリリースによると、国家電力管理センター(CENACE)による送電指示で電力庁(CFE)の発電所を優遇することは、憲法が定める自由競争に反するとしている。また、電力基礎サービス供給業者(CFE‐SB)の競売制度を通じた電力調達義務を廃止することは、CFE-SBの恣意的な判断を可能にすることで、健全な競争領域を取り除くことにつながるとも指摘している。さらに、クリーンエネルギー証明書(CEL)の発行をLIE発効前に操業していたCFEの発電所にも認めることは、既存発電所からのCEL発行数が必然的に多くなることになり、CEL本来の目的のクリーンエネルギー発電を促進する効果が薄まると結論づけている。

最高裁は、国営企業を強化するという法改正の目的は憲法で定められた自由競争の原則を阻害する理由にはなり得ないと強調している。また、今回のアンパロ訴訟による裁定の効果は提訴した企業にのみ及ぶものの、市場の競争環境を平等に保つため、電力卸売市場に参加する他の事業者に対しても、同様の待遇が与えられるべきという見解も示した。従って、他の事業者が提訴したアンパロ訴訟の憲法判断でも、同様に意見の裁定が出る可能性が高い。

与党、議長決裁巡って訴訟の構え

今回の違憲判断は賛成2票、反対2票と同数だったため、アルベルト・ペレス・ダヤン議長の議長決裁によって最終的に違憲とした。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は裁定に不快感を示し、最高裁、特に第2小法廷のペレス議長が国ではなく特定の民間企業の利益を優先していると批判した。AMLO大統領は2月5日の憲法記念日に、司法制度改革や選挙制度改革、独立自治機関の廃止など一連の憲法改正案を国会に提出する予定だが、2月1日の記者会見で、エネルギー分野を再国有化する憲法改正もその中に含める考えを示した。

他方、与党・国家再生運動(Morena)の下院議員団は2月1日、議長決裁は職権乱用と主張、弾劾裁判に訴える構えを示した(2月2日付主要各紙)。これに対し、最高裁はSNSを通じて2月1日付で声明を出し、議長決裁は裁判官1人が審理に参加できない理由があり、同不参加が他の裁判官の賛成多数で承認された場合に適用されるアンパロ法第56条に定められた合法的な制度と反論している(注2)。

(注1)行政府や立法府、司法府などの行為により、憲法が保障する国民や企業の基本的権利が侵害された場合、当該行為の差し止めと無効を求める裁判制度。原則として、提訴した企業に対してのみ差し止めや無効の効果が及ぶ。

(注2)第2法廷のハビエル・ライネス裁判官は以前(2008~2015年)に連邦司法検察官だった際、エンリケ・ペニャ・ニエト前政権のエネルギー改革(石油、電力市場への民間資本の導入)を擁護する立場を示していたため、エネルギー省はLIE改正のアンパロ訴訟を審理するには不適格とし、今までに何度も審理開始の直前(前日)に同裁判官の審理不参加を要請していた。この要請を却下するには時間を要するため、これまで何度も審理の日付が延期されてきた。今回の審理前日にもエネルギー省は審理不参加を要請したため、ライネス裁判官はこの裁判の実施を優先し、自身の審理への参加辞退(裁判官としての審理義務免除)を第2小法廷に提案し、賛成多数で承認された。小法廷で裁判官の数が1人少ない場合は合計4人となるため、2対2の賛否同数の場合は議長決裁が適用できる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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