1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

2025年以降の投資促進に向け、ASEAN事務局が各国ビジネス協議会と議論(ASEAN、タイ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月25日 1時25分

ASEAN事務局、国連貿易開発会議(UNCTAD)、オーストラリア政府、タイ貿易投資員会(BOI)は73日から4日にかけて、「ASEAN経済共同体(AEC)ポスト2025:投資優先分野と政策の重要性」と題する諮問フォーラムを共催した。「ASEANをより魅力的で、サステナブルな生産・貿易・投資のハブへと転換していく」という目標に向け、ASEANの担当官とASEAN域外パートナーのビジネス協議会との間で意見交換がなされた。

写真 フォーラムの様子(ジェトロ撮影)

フォーラムの様子(ジェトロ撮影)

UNCTADは、金利上昇などのマイナス要因により、2023年の世界の外国直接投資(FDI)が前年比2%減の1兆3,000億ドルと縮小するなか、東南アジアは1%増の2,260億ドルと堅調だったと述べた。特に製造業がサプライチェーンを東南アジアへシフトさせる傾向により、同地域でのグリーンフィールド投資件数は前年に比べて約4割も増えた。

UNCTADによれば、世界のFDIに占める東南アジアのシェアは、1996~2005年で4%、2006~2015年で6%にすぎなかったが、2016~2023年では11%超に拡大している。「ASEAN加盟国間での投資も増えているが、米国、中国、日本といった域外の主要な投資パートナーの存在感が大きい。投資円滑化や優遇措置が今後のカギとなろう」とした。

ASEAN事務局のアフマド・ザファルラーASEAN統合監督局長は「世界的にASEANへ生産拠点をシフトする傾向があり、米国、中国、日本、韓国などからの投資が増えている。この潮流をつかむ必要がある」とした。一方、2013年から2022年までの間、149の投資関連措置がASEAN加盟国内で施行され、そのうち11措置は投資制限的措置だったと指摘。ASEAN包括的投資協定(ACIA)やASEAN投資円滑化枠組み(AIFF)といった政策枠組みを基に、投資円滑化、自由化の取り組みを行う必要があることを強調した。

ASEAN・日本経済協議会日本委員会(AJBC)からは、ジェトロの黒田淳一郎バンコク事務所長が提言を行い、「円安により日本企業の対外直接投資は向かい風の局面にあるが、地政学的要因によってASEANの重要性は増している」と述べた。引き続き、日本企業にとってASEANの市場規模・成長性は魅力だが、非関税障壁の削減に加えて、グリーン経済、デジタル経済といった新たな産業競争力の育成・獲得も必要だとした。

同様の意見は、EU-ASEANビジネス協議会、英国ASEANビジネス協議会、カナダASEANビジネス協議会も要望しており、貿易円滑化、透明性の向上、外資規制の削減、サプライチェーンの脱炭素化、より一層の地域統合といった点について、ASEANに求める声が多かった。

複数の参加者から、ASEANへの主要投資国である日本の投資が直近で縮小している傾向に関して、「今後も継続するか」という質問があった。黒田所長は、「ASEAN事務総長とASEAN日本人商工会議所連合会(FJCCIA)の対話」といった枠組みなどを通じ、一層の貿易・投資環境の改善が実現されれば、日本企業の投資活性化に繋がる可能性があるとした。

議論の結果は、UNCTADがまとめる「ASEAN投資報告書(AIR)2024」へとフィードバックされる。同報告書は、2024年9月に予定される第56回ASEAN経済大臣会合、ASEAN投資地域(AIA)評議会に提出された上、10月の「ASEANビジネス投資サミット(ABIS)2024」で公表される予定。

(北見創)

(ASEAN、タイ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください