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米アマゾンのプライムデー、秋商戦として過去最高の売上高に、大幅な値引きが寄与(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月16日 9時20分

米国のアマゾンは10月8~9日に開催した2024年で3度目となる秋の有料会員向け大規模セール「アマゾン・プライムデー」が過去最大の売上高になったと発表した。同社はセール期間中の総売上高を公表していないが、有料会員には同期間中に全世界で10億ドル以上もの節約になったとしている。11月下旬に始まる本格的な年末商戦を前に、小売り各社も前倒しで特別の早期セールを開始した。

米国調査会社ヌメレーターが実施したアンケート調査(注)によると、買い物客の95%がプライムデーを事前に把握しており、約半数(46%)が今回のセールが購買動機の第1の理由だと回答した。セールを利用した理由として、46%が「セール待ちの商品を購入した」と回答した。そのほか、「食料品や家庭用品などの日用品を購入した」27%、「セール品を買いだめした」21%という回答だった。消費者のこうした選好が反映された結果、売れ筋商品には、エアポッドやアップルウォッチ、ダイソンの掃除機などの家電や美容製品、バービーなど玩具などが並んだ。これらの多くは裁量的支出に属するもので、このところの小売り統計(2024年9月18日記事参照)で低調だったカテゴリーだ。買い控えていた商品を購入したという側面のほか、ホリデーシーズンに向けたギフト商品を前倒しで購入する消費動向もあるとみられる。

アマゾンと並行して、スーパーマーケットのウォルマートやターゲットなども、同時期にセールスイベントを実施しており、半数以上(55%)がアマゾンで購入する前に、ほかの小売業者で価格や商品を比較したと回答した。

この期間の業績は、年末商戦期の電子商取引(EC)需要と強い相関関係があるといわれており、2024年後半の消費活動を占う目安としても注目されている。アドビ・アナリティクスは、2024年の米国の年末商戦(11月1日~12月31日)のオンライン売上高は前年比8.4%増の2,408億ドルと、過去最高額を見込んでいる。消費者の慎重な購買行動が顕著になっている中で、買い物客を引きつけるため、定価より最大30%の大幅な値引きが見込まれている。これまでは低価格商品に切り替える消費傾向が根強かったが、2024年の年末商戦ではこうした大幅割引に刺激され、より高価な商品に手を伸ばす「トレードアップ」の傾向がみられることが予想されている。また、後払い決済サービス「バイナウ・ペイレーター(BNPL)」の利用も拡大し、2024年の年末商戦では同サービスによる支出額は前年比11.4%増加し、過去最高の185億ドルに達すると推定されている。特に若年層の間で利用が広まり、その理由として「現金を確保するため」「ほかの方法では購入できないものを購入するため」などが挙げられており、利用者債務の増加リスクが懸念されている。

(注)アマゾンのプライムデー期間中に商品を購入した米国の消費者5,000人を対象に、プライムデー開催後に実施された。

(樫葉さくら)

(米国)

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