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2025年度歳出計画、福祉政策は拡充も、総額は減少(メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月6日 0時50分

添付資料PDFファイル(155 KB)

メキシコ大蔵公債省が11月15日に国会に提出した歳出計画によると、2025年度(注)の歳出は前年度比1.9%減の9兆2,262億ペソ(68兆2,739億円、1ペソ=約7.4円)、そのうち計画的支出(一般会計)が前年度比3.6%減の6兆5,276億ペソ、金融コストなどの特別会計が2兆7,744億ペソとなっている。歳出では、前政権が確立した無拠出制年金の支給や、奨学金などの総合福祉政策の予算を引き続き拡充している。

一般会計の支出を項目別に見ると、経常的経費の中では補助金支出のみ、総合福祉政策の拡充によって、前年度比2.9%増加したが、全体では同3.9%減となった(添付資料表1参照)。年金経費は同4.8%増となったものの、投資的経費は同14.0%減少した。省庁別予算(添付資料表2参照)では前年度に続き、福祉省が前年度比2.3%増で、連邦行政機関の省庁の中で最大の予算を割り振った。さらには、農地土地都市開発省が同2.8倍、インフラ通信運輸省が同57.6%増となったが、その他は前年度比でマイナスとなった。2024年度予算として、前年度比3.7倍の予算が計上されたエネルギー省については、2025年度は前年度比20.9%減となった。国防省や環境天然資源省も、それぞれ前年度比43.8%減、同39.4%減となった。野党からは、環境天然資源省の大幅な予算減に対する質問が寄せられたが、ロヘリオ・ラミレス・デ・ラ・オ大蔵公債相は「2024年度の支出は大型プロジェクトの完了を含むため、非常に高額だったが、プロジェクトが完了し、同じものを翌年も同額で実施する必要はない」と回答した(「インフォバエ」紙11月20日)。

経済界は治安関連の予算削減を危惧

メキシコ経営者連合会(COPARMEX)はプレスリリースで、2025年度予算案に対し、「財政赤字削減の努力は認める」としつつ、「公共教育省、保健省、経済省、治安市民保護省などの主要分野の予算の減少は、特に社会的・経済的ニーズがより大きな関心を求めている状況下、憂慮すべきものだ」と発信した。特に「治安市民保護省の予算は前年度比36.2%削減され、治安維持の大きな課題となる。この分野の資源を削減することは、法の支配、家族の保護、投資の条件を生み出すために必要な努力と矛盾する」と非難した。さらに「われわれは政府に対し、コンプライアンスを順守する納税者に影響を与えることなく、歳入の徴収機能を強化し、生産性を高め、社会的不平等の是正に向けた支出を優先するための明確な対策を強く求める」と締めくくった。

(注)メキシコの会計年度は暦年(1~12月)。

(阿部眞弘)

(メキシコ)

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