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米商務省、オレゴン州の運送企業の輸出特権を否認、輸出管理規則に複数回の違反(米国、中国、アラブ首長国連邦)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月19日 13時50分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は6月17日、オレゴン州ポートランドの運送企業USGoBuy に対し、輸出特権を3年間否認したと発表した。同社に対する輸出特権の否認は、官報で正式に発表されるが、決定自体は6月14日に行われており、同日から有効となっている。

輸出特権の否認はBISが発動できる最も重い民事制裁の1つとされており、重度の米国輸出管理規則(EAR)違反に対して科す。輸出特権を否認された企業はEARに基づき、米国製品(物品・ソフトウエア・技術)の米国からの輸出が禁じられるだけでなく、これら製品の供給を受けることも禁止される。

BISの発表によると、USGoBuyは複数回にわたってEARに違反した。同社は2021年6月に、輸出許可が本来必要なライフルスコープを、中国とアラブ首長国連邦(UAE)のエンドユーザーに無許可のまま輸出した。この際、同社はBISと和解契約を結び、和解条件を満たさなかった場合、またはEARに再度違反した場合、3年間輸出特権が否認されることを約束した。和解契約では、契約締結後12カ月間、USGoBuyが輸出管理コンプライアンスプログラムの監査を受けることなどを定めていた。しかし、その監査で同社は和解契約締結後も176件の輸出情報の電子提出漏れや、EARで義務付けられている輸出記録の保管が行われていないことが確認された。これらの問題に対処するための是正措置も実施しなかった。加えて、同社は監査期間後の2022年11月に、国土安全保障捜査局(HSI)が輸出を差し止め、輸出許可が必要だと明示された貨物をそのまま中国に輸出した(注1)。同社のこうした度重なる違反が判明したことから、BISは留保していた3年間の輸出特権の否認を決定した。

EARに違反して罰則を受けるのは輸出者自身が多いものの、今回のように、運送サービスを提供した企業が罰則対象となった例は過去にもある(注2)。BISで輸出管理の執行を担当するマシュー・アクセルロッド次官補は今回の発表に関して、「この否認命令は警告だ。行政と取り決めた和解条件に従わず、強固なコンプライアンス部門を欠く場合、輸出能力を全て失うことがある」と、輸出管理の法令順守の重要性を強調した(注3)。

(注1)実際に輸出される前に、HSIによって輸出許可を必要としない貨物に交換されていた。

(注2)過去の輸出管理違反の事例は、ジェトロの調査レポート「厳格化する米国の輸出管理法令」「続・厳格化する米国の輸出管理法令 留意点と対策」も参照。

(注3)BISは近年、輸出管理の執行を強化している(2024年1月18日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、中国、アラブ首長国連邦)

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