1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

滞留輸入債務問題について、アルゼンチン自動車部品工業会に聞く(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月31日 0時45分

自動車部品産業における滞留輸入債務の状況について、5月8日にアルゼンチン自動車部品工業会(AFAC)のフアン・カンタレラ事務局長に話を聞いた。

まず、2023年12月13日以降に輸入通関された財に係る輸入代金の支払い(新規輸入代金の支払い)は、中央銀行の規則に沿って適切に行われている。他方、2023年12月12日以前に輸入通関された財に係る未払いの輸入代金の支払い(滞留輸入債務の支払い)は、事実上凍結されている。この問題に対応するため、滞留輸入債務を抱える企業がとった手法の1つに中銀債「自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)」の購入がある。しかし、自動車部品業界でこれを購入した企業はほとんどない。滞留輸入債務の支払い方法は、BOPREALの購入を含めて次の4つがある。

1. 国外の関連会社などから支払う。
2. 自社が直接、有価証券取引(CCL取引)を行い、外貨を取得して支払う。
3. ブローカーを介してCCL取引により支払う。
4. BOPREALを購入する。

1.ができる企業はかなり限られている。2.は、アルゼンチン国債など国外で取引されている有価証券を国内で、ペソで購入し、国外においてドルで売却する取引だが、外国為替市場にCCL取引の前後90~180日間はアクセスできないペナルティーがある。それを回避する方法として3.がここ3~4カ月の間に発見され、ファクタリングとも呼ばれている。ブローカーに支払う手数料は約5%と決して高くない。債権者と債務者の双方が受け入れ可能かどうか、双方でよく分析する必要がある。手順の一例を挙げると、国外のサプライヤーAがアルゼンチン企業B宛てのインボイスをアルゼンチン国外でCに譲渡する、CがAにインボイスの請求額をドルで支払う、CがアルゼンチンのBからペソで債務を回収する、回収したペソをCがCCL取引でドルに替える、となっている。この仕組みで支払う場合、公式為替レートで外貨を取得して支払うよりも割高になるため、誰がその割高なコストを負うのかという点が問題になる。滞留輸入債務を抱えるアルゼンチン企業は、完成車メーカーなどの顧客との交渉に依存することになる。

BOPREALとファクタリングでは、後者の方が便利だ。BOPREALは公的債券であり、リスクや安全性の欠如を感じさせるが、国債ではなく中銀債だ。同じように見えるかもしれないが、中銀が債務を支払わなかったケースは過去にない点は注目に値する。アルゼンチン中銀が歴史的に抱える独立性の欠如の問題が、心理的不安をかき立てるのだ。

現状の良い面は、新規輸入代金の支払いが、中銀の規則どおりに履行されていることだ。AFACとアルゼンチン自動車工業会(ADEFA)は、滞留輸入債務の支払い、新規輸入代金の支払いについて政府と協議しているが、前者について政府は、外貨準備高が増えれば状況は改善すると述べている。現状、新規輸入代金の支払い可能時期は、企業規模や財の種類に応じて30~180暦日となっているが、資本取引規制の解除により、30日に一本化されるのが次のステップだろう。政府は規制の解除時期を口にしないが、現政権は、約束できないことはしないという姿勢だ。

(西澤裕介、サンティアゴ・ブリニョーレ)

(アルゼンチン)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください