RFIDの体験イベント開催、日本と異なる需要も(インドネシア、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月1日 0時40分
インドネシアのReycom Document Solusiグループ(本社:ジャカルタ)と、TOPPANエッジ(本社:東京都港区)は9月19日、インドネシア市内で無線自動識別(RFID)の体験イベントを開催した。RFIDはICタグを利用した非接触の識別技術で、電波によりデータ通信する技術だ。バーコードを使用した識別システムと比較して、汚れに強く、離れた場所から複数のものを一括で読み取ることが可能なことから、工場の製品管理や生産工程管理のほか、小売店の商品レジでの一括読み取りや棚卸し管理、文書倉庫管理での導入が進められている。
TOPPANエッジの浜陽一郎グローバル統括本部本部長兼Reycom Document Solusi役員は、RFIDの戦略的な活用によりコストを削減できるとし、「それぞれの顧客の課題に応じてカスタマイズした上で導入することが可能だ」と強調した。
イベントではRFIDを活用した技術の紹介も行われた。例えば、多数の部品が収納された部品ボックスに、RFIDタグを貼り付けて管理することで、本社(管理部門)、部品工場、倉庫、顧客の間で、在庫状況をリアルタイムで確認することが可能となる。在庫管理にかかる労働時間が6分の1に削減され、正確性も向上した事例を紹介した。
人手不足が加速する日本で、RFIDは小売店の店頭スタッフや工場の管理人員の削減に資する技術として注目されている。一方、ジェトロが2023年に発表した「海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」によると、自動化に取り組むと回答した在インドネシア日系企業は28.3%と、ASEAN平均(29.7%)を下回った。また、ベトナムやタイ、シンガポール、マレーシアなどでは、自動化に取り組む理由として「ワーカー不足」を挙げる企業が3割を上回るのに対して、インドネシアは9.3%にとどまった。インドネシアの人口は約2億8,000万人で、豊富な労働人口を抱えることから、省人化技術によるメリットが感じられにくい市場とされる。
TOPPANエッジの植村啓昌グローバル統括本部シニアアドバイザーは「人員削減のインセンティブが働きにくい市場という中、当社の技術が活用できるセグメントを見極めていく必要がある」として、インドネシアでのRFID普及促進にかかる課題を挙げたうえで、「RFIDを活用すれば、現場の情報をオンタイムに、かつ、正確に吸い上げることができるので、現場の状況を正確に把握する目的や、在庫の盗難防止などを目的とした活用にも需要を感じている」と述べた。
RFID体験の様子(ジェトロ撮影)
(大滝泰史)
(インドネシア、日本)
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