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ASEAN外相会合、脱炭素化の取り組みの成果や課題まとめる(ASEAN)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月9日 0時45分

ラオスの首都ビエンチャンで7月25日、ASEAN外相会合が開催された。公表された共同声明では、「ASEAN経済共同体(AEC)」下の取り組みとして、2023年におけるASEANのグリーン分野の成果や課題をまとめている。

共同声明によれば、2021年のAEC理事会で承認された「AEC循環経済枠組み」の下、2023年6月に「ASEAN循環経済ステークホルダープラットフォーム」が稼働した。同プラットフォームでは、ASEANの持続可能な消費・生産に向けた知識や事例の共有、対話の推進などを行う。ASEANがEUの協力を得て開発したプラットフォームで、マヒドン大学(タイ)にある「ASEAN持続可能開発研究・対話センター(ACSDSD)」が運営している。

グリーンファイナンスでは、2023年10月に「ASEANトランジションファイナンスガイドライン」が公表された。同ガイドラインは、脱炭素に取り組む企業への金融機関による資金提供を促すため、適切なエネルギートランジションの評価基準を明確化する。また同様に、ASEANにおける環境配慮型事業の基準を「見える化」し、グリーン投資の判断材料となる「ASEANタクソノミー」の第2版が2024年2月に更新され、第3版も同年3月に公表された(注1)。

域内のエネルギー融通が鍵に

ASEAN域内の電力融通を推進する「ASEANパワーグリッド構想(APG)」では、2024年3月に失効予定だった同構想の覚書が2025年末まで延長された(注2)。失効までの期間に、「APG諮問委員会(APGCC)」が、同覚書の改定業務を担う。また、域内で石油の需要国と供給国が助け合うことを想定した「ASEAN石油安全保障協定(APSA)」も、2023年3月に失効予定だったが、2025年末まで延長された(注3)。さらに、天然ガスの相互供給ネットワーク構築を目指す「ASEAN横断ガスパイプライン構想(TAGP)」も、同構想の覚書改正と、2024年内の早期署名が期待される(注4)。

共同声明では、国境を越えたクリーン電力の域内融通に向け、APGのさらなる推進が必要としている。現時点(2024年7月)では、ラオスからシンガポールへの電力輸出事業である「ラオス・タイ・マレーシア・シンガポール電力統合プロジェクト(LTMS-PIP)」が実施済みで、「ブルネイ・インドネシア・マレーシア・フィリピン電力統合プロジェクト(BIMP-PIP)」に向けた議論が進行中だ。

その他、脱炭素関連では、2023年に承認された「ASEANカーボンニュートラル戦略」とその取り組みが、各国の脱炭素目標達成を補完するものとして評価された。また、輸送部門の脱炭素化を後押しする「ASEAN電気自動車(EV)ロードマップ」や、海洋資源の持続可能な利用・開発を目指す「ASEANブルーエコノミー実施計画」の早期策定への期待が表明された。

(注1)ASEANタクソノミーの第2版は、2023年3月に公表され、2024年2月に更新された。同タクソノミーは、関係機関との協議を経つつ、評価基準がより明確化され、対象産業も段階的に拡大されている。

(注2)APGは、2007年にASEAN加盟国が覚書に署名し、2009年から施行、2024年3月が有効期限とされていた。

(注3)APSAは、2009年にASEAN加盟国によって締結され、2013年から施行、2023年3月が有効期限とされていた。

(注4)TAGPは、2002年にASEAN加盟国が覚書に署名し、2004年から施行、2024年5月が有効期限とされていた。同協力枠組みのさらなる強化に向け、覚書改正に向けた議論が進行中。

(田口裕介)

(ASEAN)

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