4月の郷里送金額は前年同月比21.3%増(バングラデシュ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月21日 0時55分
バングラデシュ銀行(中央銀行)は、2024年4月単月の郷里送金額が前年同月比21.3%増(前月比2.3%増)の20億4,306万ドルで、2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)の4月までの累計が191億1,752万ドル(前年同期比7.9%増)と発表した(添付資料表参照)。
郷里送金額は、3月に前年同月比でやや減少がみられたものの(2024年4月23日記事参照)、4月は通常よりも消費が拡大するベンガル新年(4月14日)や断食月(ラマダン)明けのイード休暇の影響で、海外から郷里への送金が増加したとの見方が報じられている(「フィナンシャル・エキスプレス」紙5月2日)。一方で、中銀が公表している2023/2024年度の4月までの主要国別月次統計によると、最大の送金元であるアラブ首長国連邦(UAE)をはじめ、英国やサウジアラビアなど上位国も年度を通してみると、他の月との比較において、必ずしも4月が高い水準ではなかった。
またバングラデシュでは、公定レートと統計に反映されない違法な送金(注)によるレートの乖離が、郷里送金の構造的な課題の1つだ。5月8日に導入された新為替相場制度(2024年5月10日記事参照)により対ドルで現地通貨タカ安が進むことで、違法な送金時とのレート差が縮まり、正規ルートである銀行経由での送金が促進されるとの見方もある(「デイリー・スター」紙5月10日)。中銀が公開している5月第3週(5月17日)までの送金受領額(週次、商業銀行別)では、上記制度の開始(5月8日)前後においてそうした傾向はみられないものの、郷里送金は政府および各商業銀行にとって外貨獲得の主要手段の1つでもあり、今後の動向が注目される。
(注)「フンディ(Hundi)」や「カーブ・マーケット(Kerb Market)」と呼ばれる。
(山田和則)
(バングラデシュ)
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