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テキサス州が米メキシコ国境に設置の有刺鉄線、連邦政府の撤去などに一時差し止めを再度指示(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月24日 0時35分

米国第5巡回区連邦控訴裁判所は11月27日、テキサス州が不法移民の立ち入りを防ぐためイーグルパス地域のメキシコ国境沿いに設置した有刺鉄線に対し、連邦政府が損傷・撤去、あるいは干渉することを一時差し止める措置を認めた。

テキサス州は国境警備対策として、2023年9月時点で29マイル(約46.7キロ)以上におよぶ有刺鉄線をリオ・グランデ川沿いに設置していた。連邦国境警備職員がこれを切断したのを受けて、同州は2023年10月、州の財産を損壊し、国境防衛の取り組みを妨害したとして、連邦政府を訴えた。連邦地方裁判所は同州の訴えを退けたものの、第5巡回区控訴裁は連邦国境警備員が有刺鉄線を切断・撤去することを一時差し止める判断を示した。連邦政府側が上告し、連邦最高裁判所は2024年1月22日、連邦政府側に下っていた差し止め命令を撤廃、有刺鉄線の撤去を認めた(2024年1月24日記事参照)。その後、この件は控訴裁から連邦地方裁判所に差し戻っていたが、今回、控訴裁から連邦政府側へ、再び一時差し止め命令が出た。

今回の判決を受け、グレッグ・アボット同州知事(共和党)は12月3日、X(旧Twitter)で「裁判所はテキサス州を支持した」とし、「テキサス州は米国の安全を守るために引き下がらない」と述べた。アボット知事は11月20日にも、リオ・グランデ川沿いに設置した「浮き壁」をさらに増設したとXに投稿している。さらに、同知事は11月26日にイーグルパスを訪問し、感謝祭の食事を振る舞って州兵を激励し、同地域を上空からも視察した。国境警備に力を入れるアボット知事は、2021年から州独自の国境防衛策「オペレーション・ローン・スター」(注1)を実施しており、国境警備強化を掲げるドナルド・トランプ次期大統領(共和党)を支持している。

トランプ氏は2025年1月の大統領就任の後に、不法移民の大規模強制送還を計画していると報道されている。テキサス州公有地管理局のダウン・バッキンガム局長は11月19日、トランプ次期大統領宛ての手紙の中で、同氏の大規模強制送還策を支援するべく、送還手続きや一時収監の施設を建設するために、同州の土地を提供すると明言している。土地面積は1,402エーカー(約5.7平方キロメートル、注2)で、「国境の壁」の約1.45マイル(約2.3キロ)の設置許可も取得済みという。

(注1)実績として、開始から52万7,600人以上の不法移民を拘束し、4万9,000人以上を逮捕、うち4万2,200件を検挙。また、5億7,300万回服用分の合成麻薬フェンタニルを押収。さらに、ニューヨークやシカゴ、首都ワシントンなどの「サンクチュアリシティー(聖域都市)」と呼ばれる不法移民保護に寛容とされる都市に向けて、バスや飛行機を用いて不法移民を移送。その数は2022年4月から2024年末までで約12万人に上る(2024年12月6日アボット知事プレスリリース)。2021年12月着工の「国境の壁」は2024年11月15日時点で、50マイル(約80キロ)に及ぶ。

(注2)参考:日本最小の市である埼玉県蕨市の面積は約5.1平方キロ。

(キリアン知佳)

(米国)

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