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フランス左派連合、年金改革の撤廃、最低賃金の大幅増を公約(フランス)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月20日 13時50分

フランスで6月30日と7月7日に行われる国民議会(下院)選挙に向け、選挙協力で合意した左派の社会党、環境派、共産党、極左・不服従のフランス(LFI)の4党からなる左派連合「新民衆戦線」は6月14日、選挙公約となる政策プログラムを発表した。

経済政策ではまず、下院選の決選投票が実施される7月7日から2週間以内に年金制度改革を撤廃し、法定退職年齢を64歳から60歳に引き下げる方針を盛り込んだ。マクロン政権が実施した失業保険制度改正(2023年11月28日記事参照)も同時期に撤廃する。購買力強化に向けては、法定最低賃金(SMIC)を月額手取りで1,600ユーロと、現行の1,398.69 ユーロから約200ユーロ引き上げるとともに、SMIC以外の賃金にも物価スライド制を導入する。

物価抑制では、食料品、エネルギー、燃料など生活必需品の価格を凍結する。特にエネルギーでは、エネルギー課税の軽減と、7月1日付で予定されているガス規制料金引き上げの撤廃、必要最低限の電力消費を対象とする無料枠の導入などを約束した。

気候変動対策では、2050年のカーボンニュートラル(炭素中立)達成に向けた気候プランの策定を予告。エネルギー分野では、フランスを欧州の海洋エネルギーのリーダーとするべく、洋上風力発電、潮力エネルギーの開発を後押しする。原子力発電については、推進派の共産党と反対派のLFIと環境派でまとまらず、政策プログラムには、マクロン政権が決めた原子力安全局(ASN)と放射線防護・原子力安全研究所(IRSN)の統合を撤回する方針のみ組み込んだ。

財源については、富裕層に対する優遇廃止(所得税の累進課税強化、連帯富裕税の再導入など)、企業の超過利潤への課税強化、キャピタルゲインに対する一律課税制度(30%)の廃止、相続税などの増税によって確保する方針を示した。下院選で勝利した場合、同増税案を組み込んだ補正予算法案を8月4日にも発表するとしている。

同プログラムでは具体的な数値は示していないが、社会党のバレリー・ルボー元下院副議長は6月18日、経済紙「レゼコー」とのインタビューで、新民衆戦線の選挙公約に伴う追加支出を1,060億ユーロと試算し、財政赤字が対GDP比で3%を下回るのは2030年になると予測した。この点について、LFIは新民衆戦線の公式な試算ではないと異議を唱えている。下院選で勝利した場合の首相候補の選出問題でも各党間で意見が異なり、左派連合内に足並みの乱れが生じている。

(山崎あき)

(フランス)

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