米USTR、重要鉱物など5品目の対中追加関税の対象拡大・関税率引き上げ案を発表、パブコメ募集(米国、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月24日 14時0分
米国通商代表部(USTR)は9月19日、中国原産のタングステン、ポリシリコン、ウエハーに対する1974年通商法301条に基づく追加関税(301条関税)の対象品目の拡大および関税率の引き上げについて、利害関係者からパブリックコメントを募集すると発表した。9月24日付で、正式に官報で公示する予定だ(注1)。
USTRが同日公表した官報案によると、今回の提案内容の対象は、米国関税分類番号(HTSコード)8桁で、タングステン3品目、ポリシリコン1品目、ウエハー1品目の計5品目だ。タングステンは、現在、301条関税の対象に含まれていない3品目を新たに対象品目に追加した上で25%の追加関税を賦課する。ポリシリコンとウエハーの各1品目は、現在、301条関税の対象品目に含まれているものの、追加関税率を25%から50%に引き上げる。なお、官報案では対象品目の追加や関税率引き上げの具体的な時期は示されていない(添付資料表参照)。
301条見直し作業の延長線の位置づけ
301条関税は、米国がトランプ前政権下の2018年7月以降に中国原産品に賦課した追加関税だ。2024年9月20日現在で1万以上の幅広い品目に対して、7.5~25%の追加関税が賦課されている。USTRは、2022年9月に追加的措置の必要性などを検討する見直し作業を開始し、2024年9月13日に新たに重要鉱物などの37品目を対象に追加したほか、電気自動車(EV)など一部の品目で追加関税率を最大100%に引き上げるなどの見直し作業の最終結果を公表していた。これにより、9月27日に一部の品目で追加関税率が引き上げられる(2024年9月17日記事参照、注2)。USTRによると、見直し作業でのパブリックコメントを通じて、タングステン、ポリシリコン、ウエハーなど一部の品目の関税率を引き上げるよう要望するコメントがあった。これらの要望は最終見直し結果には反映されなかったものの、今回募集されるパブリックコメントを踏まえて、USTRが見直し結果に追加的に反映させるものとみられる。
なおUSTRは、製造機械に対する301条関税の適用除外申請手続きの詳細を近く公表予定としていたが、今回の発表では適用除外に関する発表はなかった。
(注1)コメント受け付け期間は9月23日~10月22日。USTRのウェブサイト(ドケット番号:USTR–2024–0016)で提出が可能。提出方法詳細については官報案のC~D章を参照。
(注2)USTRは、見直し作業の最終結果を9月18日付の官報で正式に公示した。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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