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サンルイスポトシ州の炭素税導入は2025年1月に延期(メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月2日 14時35分

添付資料PDFファイル(96 KB)

メキシコの中央高原バヒオ地域のサンルイスポトシ州政府は6月28日、州官報で6月7日付州財政法改正令の改正を公布し、7月1日から導入予定だった炭素税(2024年6月20日記事参照)について、2025年1月1日に適用を延期することを決定した。同時に、州政府当局が作成する同税の細則の施行についても2025年1月1日からとした。炭素税適用の延期について州議会は、新税についての知識と適用方法、運営細則について納税者に周知するためのより多くの時間を州政府に与えることが必要とし、適用延期が適切な知識の普及や炭素税についての法律順守に貢献し、州民の利益につながると説明している。また、1年間の猶予(注1)を与えることで、企業が経営・運営プロセスの必要な調整を行うことを可能にし、徴税効率が増すことになるとしている。

適用延期の背景には、納税義務を負う企業から、自社が排出する温室効果ガス(GHG)の計測方法について曖昧な点が多く、どのようにしたらよいか分からないといった苦情があったようだ。適用延期は、州政府経済開発長官のサルバドール・ゴンザレス・マルティネス氏が州議会に対して働きかけたようだが、その目的は、州財政局が炭素税についてのより分かりやすい運用細則を策定するための時間を確保するためと州議会議員に対して説明したようだ(「エル・エラルド・デ・サンルイスポトシ」紙6月26日)。

税率は他州より高め

同州の炭素税については、既に導入済みの他州の炭素税と比べると高めとなる、二酸化炭素(CO2)換算1トン当たり325ペソ(約2,850円、注2)となっており、ケレタロ州の640ペソに次ぐ水準(タマウリパスと同額、添付資料の表参照)。固定排出源からの直接排出のみが対象となっているため、熱源として天然ガスを用いている工場が中心となるが、タマウリパス州、ユカタン州、グアナファト州のように、天然ガス由来の排出の場合の軽減措置もない。

州政府関係者によると、同税についての細則は、業界の意見も反映して2024年10月ぐらいまでに定められる。その中で、優遇措置などについても他州の炭素税を参考にして検討はされるようだ。

(注1)当初の2023年12月18日付州財政法改正では、2024年1月1日からの施行となっていた。

(注2)州財政法第36-7条では、1トンCO2当たり法定価額算出係数(UMA)の3倍と定められている。UMA(Unidad de Medida y Actualización)とは、罰金や社会保険料の計算などに用いる係数で、毎年インフレ率に応じて更新される。2024年時点のUMAは、108.57ペソ(約950円、1ペソ=約8.76円)。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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