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米商務省、ロシア向け「共通の高度優先品目リスト」の輸出管理違反で米企業に330万ドルの罰金(米国、ロシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月19日 16時10分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は12月18日、カリフォルニア州エルセグンドに本社を置き、無線周波数やマイクロ波電力ソリューションを設計・製造しているインテグラ・テクノロジーズに対して、330万ドルの民事罰金を科したと発表した。同社が輸出管理規則(EAR)に違反して、事前の輸出許可(ライセンス)なしに、ロシアに航空電子工学やレーダーシステムに使用可能なトランジスタとその関連製品を輸出したことが理由となっている。

BISの発表によると、インテグラは2023年2~10月、BISからのライセンスなしに、販売代理店2社を通じて、8社の異なるロシアのエンドユーザーに94件、総額約667万ドルのトランジスタ、関連製品を販売、輸出した。同社が輸出したトランジスタは、ロシアの防衛産業基盤に重要な製品として、米国や英国、日本などが共通して輸出管理の対象としている関税分類番号(HSコード)6桁の「共通の高度優先品目リスト(CHPL)」(2024年2月26日記事参照)に、2023年7月に指定されていた。インテグラは違反当時、トランジスタとその関連製品をロシアのエンドユーザーに輸出していることを認識していたが、同社の輸出コンプライアンスプログラムには、EARの改定を定期的に確認する手順が欠けていたため、トランジスタなどの輸出にライセンスが必要であることを認識できなかった。ただし、同社は、ライセンスが必要だと判明した後、ロシアのエンドユーザー向けの全ての出荷を直ちに停止し、BISに自主的に自己開示(VSD)をしたことなどから、罰金は大幅に減額された。また、同社の支払い能力が限られていることを理由に、BISは150万ドルの支払いを猶予した。BISは近年、輸出管理のルールを強化するとともに、効率的に執行するためにVSDを奨励している(2024年9月13日記事参照)。

今回の発表に際し、BISで輸出管理の執行を担当するマシュー・アクセルロッド次官補は「プーチン大統領によるウクライナへの全面侵攻以降、われわれは、企業がCHPL品目の輸出に慎重になることの必要性を明確にしてきた(注)。今回の罰金は、VSDに従ってBISが軽減したが、これら重要品目の輸出管理違反がもたらす結果について、ほかのCHPL輸出者に強い警告を発するものだ」と述べた。

(注)BISはCHPL品目をロシアに横流ししている事業者を企業に通知しているほか(2024年7月11日記事参照)、ロシアによる輸出規制回避を防止するG7の共同ガイダンスでは、CHPLを解説している(2024年9月25日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、ロシア)

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