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マレーシア、ASEANの気候変動問題主導をCOP29で表明、国内企業の取り組みも評価(マレーシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月28日 15時0分

国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)(2024年11月27日記事参照)に参加したマレーシアのニック・ナズミ天然資源・持続可能性相(注1)は11月23日、気候変動対策のために主に先進国が途上国に拠出する「気候資金」の問題で完全な国際合意に至らなかったとする一方、同国としては「引き続き気候変動問題における責任を認識し取り組みを推進する」と、あらためて表明した。とりわけ2025年のASEAN議長国として、「包摂性と持続可能性(Inclusivity and Sustainability)」(2024年11月7日記事参照)に沿った主要な地域課題として、気候変動問題を最優先に取り扱う意向を明らかにした。マレーシアはまた、ASEAN気候変動作業部会議長国でもある2022年から2025年にかけ、域内協力を強化する好機を逃さず、2025年にブラジルで開催予定のCOP30ではASEAN共同声明を発表する予定だと述べた。

COP29会期中には具体的取り組みとして、「ASEAN共通炭素枠組み(ACCF)」(注2)を後押しするマレーシア政府の方針の下、排出権取引の業界団体である炭素市場協会(MCMA)が域内4団体と協力覚書を締結。域内のカーボンニュートラル戦略にACCFを組み込みたい考えだ。ニック氏は、ACCFにより域内市場全体の流動性が高まり、炭素事業の価格適正性が向上することへの期待を示した。

一方で同氏は、ASEANの気候変動への取り組みは、多様性に富みつつも、共通の課題を抱えているとし、特定国の慣行が他国にとっても参考になりうると指摘した。具体例として、マレーシアのエネルギー移行・水資源変革省が主導するASEANパワーグリッド構想(APG)(2024年8月9日記事参照)を取り上げ、「APGは古くから議論されてきたが、エネルギーコスト上昇と気候変動問題の切迫化により、かつてないほど重要性が高まった」と強調した。欧州の経験から、地域的な送電網構築は再生可能エネルギーの最適利用に資するとした上で、「APGをエネルギー取引に使用できれば、(ASEANの)中心に位置するマレーシアの戦略的立地を生かせる」とも見通した。

(注1)マレーシアの環境保護団体リンバ・ウォッチが、COP29に参加した国有石油ペトロナスや国営電力テナガ・ナショナルなど一部企業を「化石燃料ロビイスト」と名指し批判したことに対し、会期中の11月22日に天然資源・持続可能性省は強く反発(同省プレスリリース)。各企業が、クリーンエネルギー事業に活発に投資するなど、マレーシアの国家エネルギー移行ロードマップ(NETR)でも重要な役割を担っていることに鑑み、これら当事者がCOPに参画することを制限しない、と強調した。

(注2)各国が独自に進める排出権取引について、ASEAN加盟国間で相互認証・運用を促す取り組み。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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