バイデン米政権、日米韓共同声明を発表、AIや重要鉱物で連携強化(米国、日本、韓国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月19日 13時20分
米国のジョー・バイデン大統領は11月15日、APEC首脳会合が開催されたペルーのリマで、日本の石破茂首相、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と首脳会談を行ったと発表した。日米韓首脳会談は、直近では2023年8月に行われた(2023年8月22日記事参照)。
共同声明(仮訳)では、3カ国の共通のコミットメントの調整や履行に責任を負う、日米韓調整事務局の設立が発表された。当該事務局を活用して、安全保障面での協力関係を強化していくという。
経済面では、韓国が鉱物安全保障パートナーシップ(MSP)の議長を務めていることを歓迎し、MSPでの連携の深化を確認した。MSPは、2022年6月に創設された重要鉱物サプライチェーン強靭(きょうじん)化に向けた協力枠組みで、米国、韓国、日本を含む15カ国・地域が参加しており、重要鉱物の採掘・採鉱、加工、回収・リサイクルに関して30以上のプロジェクトの協働に取り組んでいる(2024年7月1日記事参照)。
また、緊急時に重要物資へのアクセスを確保するため、インド太平洋経済枠組み(IPEF)サプライチェーン協定の下で設置された、危機対応ネットワークにおける協力強化も確認した。危機対応ネットワークでは、韓国が議長を、日本が副議長を務めている(2024年7月31日記事参照)。米国国務省の発表によると、韓国は11月6日にIPEF協定とクリーン経済協定の批准を終え、両協定とも12月6日に韓国に対して発効する(注)。
次世代の重要・新興技術については、協力を進めるための3カ国の枠組みを作ると記載された。信頼できる人工知能(AI)エコシステムの開発の加速、AIの安全性強化、AI半導体の商業連携強化などもうたわれた。
日本の外務省の発表によると、日米韓首脳会談の直前に、バイデン大統領は石破首相と初めての2国間の首脳会談を行った。両首脳は、核・ミサイル問題および拉致問題を含む北朝鮮情勢やウクライナ情勢への対応について協議し、引き続き日米で緊密に連携していくことで一致した。
(注)2024年11月18日時点のIPEFの各協定の発効状況は次のとおり。IPEFサプライチェーン協定は、オーストラリア、フィジー、インド、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ、米国の10カ国で発効済み。クリーン経済協定は、フィジー、日本、韓国(12月6日発効予定)、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ(11月24日発効予定)、米国の8カ国で発効済み、または発効予定。公正な経済協定は、フィジー、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ、米国の6カ国で発効済み。IPEF協定は、フィジー、日本、韓国(2024年12月6日発効予定)、マレーシア、ニュージーランド、シンガポール、タイ、米国の8カ国で発効済み、または発効予定。残る貿易の柱については、現在も交渉中のステータスとなっている。
(赤平大寿)
(米国、日本、韓国)
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