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上院が税制改革法案を承認、歳入増の意図にそぐわない修正も(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月18日 0時55分

アルゼンチン上院は6月12日、税制改革法案について審議し、賛成37、反対35で同法案を承認した。同法案は、ミレイ政権が提示した経済改革法案と緊縮財政法案である「アルゼンチン人の自由のための基盤および出発点に関する法律」(通称:オムニバス法または基盤法)の一部分として2023年12月27日に下院に提出されたが、そこから切り離され、個別の税制改革法案として審議されていた(2024年6月17日記事参照)。

上院における審議の過程で、個人所得税について規定した章と個人資産税について規定した章が、法案からすべて削除された。法案では個人所得税について、非課税下限額(額面給与)を単身者の場合は180万ペソ、子供のいる夫婦の場合は総額220万ペソに設定し、2025年からは毎年の消費者物価指数(CPI)上昇率で下限額を調整するとしていた。しかし、上院での修正の結果、非課税下限は、現行の最低賃金に15をかけた金額、約350万ペソ(約59万5,000円、1ペソ=約0.17円)のままとなる。

法案は、動産や不動産、現預金などの個人資産に課税される個人資産税について、個人資産税の非課税下限額を2,700万ペソから1億ペソに引き上げること、居住用不動産の非課税下限額を1億3,600万ペソから3億5,000万ペソに引き上げること、最高税率の引き下げを規定していた。個人資産税の非課税下限額が現状維持となることは、一見すると中間層にとって有利だが、税制改革法案に含まれている無申告資産の正規化制度(注)の利用者が減るとの見方がある。正規化制度により、税金や罰金を支払うことなくタンス預金などの無申告の資産を表に出すことができたとしても、個人資産税の非課税下限額が低いままでは、個人資産税が課税される可能性があるからだ。

所得税の非課税下限の引き下げや無申告資産の正規化制度により歳入を増やすことは、財政の健全化を進める政府にとって重要であるため、政府は、法案が再び審議される下院において、原法案での法案成立を目指すとみられる。

(注)無申告の資産について、最大15%の税金を支払うことでこれを正規化できる。この制度の受益者は、民事訴訟や過去の租税、為替、関税の違反行為の罰則から免除される。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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