トランプ米大統領、連邦政府職員のリモートワーク停止を含む雇用見直しに着手(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月30日 0時5分
米国のドナルド・トランプ大統領は1月20日、「連邦政府職員のリモートワークを停止」すると発表した。具体的には、連邦政府の全省庁の長に対し、実務上可能な限り速やかにリモートワークを終了し、職員をフルタイムでオフィスに戻らせるよう指示した。米国センサス局によると、2024年12月時点にフルタイムでリモートワークをしていた連邦政府職員は56万9,000人(全体の13.1%)、出社とリモートワークのハイブリッド体制をとった職員は89万8,000人(20.6%)、リモートワークをしなかった職員は288万9,000人(66.3%)だった。複数のメディアによると、首都ワシントン外からリモートワークをしている職員の一部は、ワシントンに移動するか仕事を辞めるか決断することになると指摘されている。
トランプ大統領は同日、「政府職員の新規採用停止」と題する覚書も発表した。これにより、1月20日正午に空席となっていた役職は全て、資金の出所によらず、凍結された。ただし、軍人、移民法執行、国家安全保障、公共の安全に関連する役職は例外にした。その上で、同覚書発表日から90日以内に、行政管理予算局(OMB)局長に対し、効率改善と人員減を通じて連邦政府の人員規模を縮小する計画を提出するよう命じた。
さらに同日、「連邦政府の雇用手続きの改革と政府サービスの価値の復活」と題する大統領令も発表した。同大統領令では、「米国民は、合衆国憲法が推進する自由、繁栄、民主的統治の達成に尽力する最高レベルの公務員を引きつける連邦政府を持つに値する。しかし、現在の連邦政府の雇用慣行は破綻し、偏狭で、時代遅れである。もはや、実力、実務能力、憲法への献身を重視していない」とし、大統領補佐官(国内政策担当)に対して、大統領令発表日から120日以内に、OMB局長、人事管理局長、政府効率化省(DOGE)長官(2025年1月22日記事参照)と協議した上で、次の点などに注視した連邦雇用計画を策定し、各省庁の長に送付するよう命じた。
1. 連邦政府の効率向上に尽力し、米国の理想に情熱を持ち、法の支配と合衆国憲法の順守に尽力する人材を最優先に採用
2. 人種、性別、宗教に基づく採用を防止し、憲法を擁護する意欲がなく政府に忠実に仕えようとしない個人の採用を防止
3. 全ての省庁で、採用までの期間を80日未満に短縮
連邦政府職員の人事関連の方針として、トランプ大統領は就任初日に、「連邦政府の多様性、公平性、包摂性(DEI)を終了」(2025年1月28日記事参照)、「連邦政府内の政策に影響力を持つ役職者の説明責任の復活」、「選挙妨害や政府機密情報の不適切な開示に対し元政府高官の説明責任を追及」の3本の大統領令と、「キャリア幹部の説明責任の復活」も発表している。
(吉田奈津絵)
(米国)
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