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IMF、ワールドカップ開催後のカタールの経済多角化を報告(カタール、湾岸協力会議(GCC))

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月31日 0時30分

添付資料PDFファイル(145 KB)

IMFは7月22日、「ワールドカップ後のカタールの経済多角化に向けた新たな軌道を描く」と題し、同国が2022年のサッカーワールドカップの開催後も経済的な利益を享受し続けていると報告した。IMFは、2011年来の大規模な公共インフラ投資プログラムで経済の多角化が促進され、ワールドカップの開催は非炭化水素部門の多角化を加速させ、実質GDP成長率に年平均5~6%分の貢献をしていると分析した。2024年1月に、第3次国家開発戦略で戦略的優先事項(添付資料表参照)を設定したカタールの今後の重要課題には、「国家ビジョン2030」で掲げた公共部門主導の成長から、より多角的な民間部門主導の経済モデルに移行すると指摘した。

報告の中では、カタールのいくつかの経済環境について言及されている。同国への2023年の訪問者数は新型コロナ渦前の約2倍となり、2024年現在も多くの訪問者数を記録している。同国の計画統計局によると、訪問者の40%超が湾岸協力会議(GCC)諸国からで、オセアニアを含むその他のアジアやヨーロッパが次いで多くなっている。また、カタールの労働力の約95%を占める外国人労働者の保護も強化しており、外国人労働者の移動を制限するカファーラ制度(注1)をGCC諸国で初めて廃止した。他にも、海外からの投資の誘致やデジタル化にも取り組んでおり、世界銀行のGovTech成熟度指数(注2)では世界198カ国中16位になっている。

さらにIMFは、労働市場とビジネス環境の改善が中期的に成長を加速させるとし、2023~2028年の間の非炭化水素部門のGDPの年平均成長率への影響を次のとおり分析している。

労働市場改革:2.0%(熟練労働者のさらなる受け入れ:1.5%、積極的な労働市場政策:0.3%、女性の労働参加:0.2%)
ビジネス環境改革:1.1%(融資の容易化:0.6%、ビジネス参加のための障壁の削減:0.3%、規制実施の減少:0.2%)

なお、世界銀行が5月に発表した予測では、カタールの2024年の成長率は前年比でわずか2.1%増であるものの、天然ガス採掘拡張プロジェクト開始に伴い、2025年第4四半期から2027年にかけて大きな成長を見込むとしている(2024年6月4日記事参照)。

(注1)カファーラ制度:外国人労働者がカタールで就労する際、雇用者による保証を必須とするもの。同制度の下では、外国人労働者はカタールを出入国するために雇用者の許可を得なければならず、就労先を変更することも認められてこなかった。

(注2)GovTech(政府技術)成熟度指数:公共部門におけるデジタル変革を測る尺度。政府の中核システムのサポート、サービス提供の強化、市民参加の主流化、GovTechの実現者の育成、の4つの重点領域がある。

(加藤皓人)

(カタール、湾岸協力会議(GCC))

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