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米国務省、国際武器取引規則(ITAR)改正の暫定最終規則を公示、英豪向け輸出管理緩和(米国、英国、オーストラリア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月21日 11時20分

米国国務省は8月20日、「AUKUS(オーカス)」で連携する英国およびオーストラリアに対する防衛関連製品の輸出管理の要件緩和に関する暫定最終規則(IFR)を官報で公示した。IFRは2024年9月1日に発効の予定だが、最終規則(FR)の策定に向けてパブリックコメントを11月18日まで受け付ける(注1)。

AUKUSは、2021年9月に創設された、米英豪3カ国の安全保障協力の枠組みだ。インド太平洋地域における中国の影響力拡大への対処を念頭に、オーストラリアへの原子力潜水艦の配備、3カ国の人工知能(AI)・量子技術・極超音速ミサイルなど先端技術分野での協力などを目的としている。一方で、米国の国際武器取引規則(ITAR)に基づく厳格な輸出管理制度(注2)が3カ国の技術協力の障壁となっていた。米国軍需物資リスト(USML)に掲載されている特定の防衛関連製品を輸出などする際は、ITARに基づき、国務省防衛取引管理局(DDTC)から事前の許可取得が必要となる。このため、米国連邦議会は2023年12月に可決した2024会計年度国防授権法(NDAA)で、政権に対して、英豪が米国と同等の輸出管理制度を有すると判断した場合にはITARの要件を緩和するよう求めていた。

今回公示されたIFRは、英豪両国に対する輸出許可例外を設けるようITARを改正するもので、国務省が2024年5月に規則案を発表していた(2024年5月8日記事参照)。具体的には、USMLに掲載されている特定の防衛関連製品を、英豪両国向けに輸出などする際に、2024年9月1日以降、DDTCからの事前の許可取得を例外的に不要とする。ただし、連邦規則集第22編第126条の補足2の「除外技術リスト(ETL)」に掲載される防衛関連製品は、例外の対象とはならない。IFRでは、規則案に対するパブコメを踏まえて、無人航空機(UAV)飛行制御システムおよび車両管理システムをETLから削除するなどした。

国務省は、8月15日に発表したメディアノートで、今回のITARの改正について、AUKUSの3カ国間で技術革新を促し、防衛産業基盤を相互に強化するものだとしている。また、議会上院外交委員会のベン・カーディン委員長(民主党、メリーランド州)は同日に発表した声明で、「英豪両国が、AUKUSに関してITARで規定されている広範な輸出許可例外の恩恵を享受できるようになったことを歓迎する」と述べた。下院外交委員会のマイケル・マコール委員長(共和党、テキサス州)は同日発表した声明で、「米国企業の膨大な事務的負担を軽減することになる」と評価した一方、「この輸出許可例外に含まれていない品目がまだ多すぎる」と述べ、ETLに掲載される製品をさらに削減する必要性を訴えた。

なお、英国も8月15日、米豪両国向けの防衛製品に関する輸出管理制度の緩和について発表している(2024年8月19日記事参照)。

(注1)パブコメはEメール(DDTCPublicComments@state.gov)もしくは、連邦政府のポータルサイト(DOS-2024-0024)を通じて提出可能。

(注2)民生品にも軍事品にも利用できるデュアルユース品目に対する輸出管理は、商務省産業安全保障局(BIS)が輸出管理規則(EAR)に基づいて行っている。英豪両国に対する輸出管理を巡っては、BISも2024年4月に、EAR上の軍事品目などを事前許可なく輸出などができるよう、要件を緩和するIFRを発表している(2024年4月19日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、英国、オーストラリア)

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