東北地域を氷雪経済の先進発展地域に、中国政府が指針発表（中国）

中国の国家発展改革委員会は12月5日、「東北地域における氷雪経済の質の高い発展を促進し、全面振興の新たな躍進の実現を支援する実施方案」を発表した。国務院は11月6日に中国全体の氷雪経済（注）の発展に関する方針（2024年11月12日記事参照）を発表しており、具体的な地域にフォーカスした政策としては初めてとなる。

同方案の実施時期は2027年までとし、期間中に氷雪をテーマにした観光、スポーツ、カルチャー、設備産業を発展するとした。また、東北地域を中国における氷雪経済の発展先進地域に整備すると同時に、世界級の氷雪名勝地として発展させることを目指している。

具体的な取り組みとして、観光、スポーツ、カルチャー、設備産業の4つの分野で施策が提唱された。主要な内容は次のとおり。

（観光）氷雪をテーマとするリゾート地の建設、他地域の観光客の積極的な誘致、主要観光地につながるインフラ整備など。
（スポーツ）国際または中国の重要な競技大会の誘致・開催、条件を満たす小中学校の体育課程にウインタースポーツ課目を導入、一般市民向けのウインタースポーツ施設の整備など。
（カルチャー）氷雪をテーマとする各種イベントの実施、関連文化作品の創出など。
（設備）造雪機、圧雪車、製氷機、整氷車、ロープウェイ・ケーブルカーなど、氷雪関連施設で使用されるコア設備の研究開発・製造能力の向上、産学連携の強化、設備企業とスキー場やスケート場との連携強化など。

同方案では、国際交流・連携の強化にも触れている。海外の氷雪経済の先進的な理念、開発モデル、管理ノウハウを学習・参考にし、東北地域の発展レベルの持続的な向上につなげていくとした。

東北地域では今後、同方案で示した方針に沿った一連の事業が動き出す見込みだ。重大な政策、プロジェクトについては、中央政府への報告が求められている。中央区域協調発展領導小組弁公室、国家発展改革委員会が各種事業の順調な実施に向けた調整・督促の機能を果たすこととなっている。

（注）氷雪経済とは、雪資源の開発や利用に基づく経済活動で、ウインタースポーツ、観光、カルチャー、教育、関連設備などの産業が含まれる。

（呉冬梅）

（中国）