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中銀、インフレなど見通しに係る評価を実施(バングラデシュ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月5日 0時0分

バングラデシュ銀行(中央銀行)は8月25日、金融政策委員会(MPC:Monetary Policy Committee)を開催し、現下の国内外情勢を踏まえたマクロ経済の状況や課題、今後の見通しに係る評価を行った。同委員会は、政府がインフレ抑制に向けた金融政策を打ち出してきたが、サプライチェーンの混乱や、複雑な国内市場構造によって望ましい結果に至っていないとし、同日付で2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)のインフレ目標(6.5%)に向けて、政策金利を0.5ポイント引き上げ9.0%とした(2024年9月4日記事参照)。併せて、2023年7月から導入している金利コリドーシステム(注)の上限金利(Standing Lending Facility:SLF)を10.0%から10.5%に、下限(Standing Deposit Facility:SDF)は7.0%から7.5%に引き上げた。

また、国際的商品価格が低下傾向にあることや、中銀の政策による為替レートの安定などによってインフレ率は今後数カ月の間に許容水準にまで下がると見通し、引き続きインフレ抑制を政策の最重要課題とした。さらに、銀行での資金流動性の確保や政情不安への対応のため、現在、中銀が講ずる商業銀行の現金の引き出し上限〔1口座当たり1日につき50万タカ(約60万円、1タカ=約1.2円)〕規制や、ぜいたく品を除く生活必需品や電力、農業資材など、産業の根幹に係るものへの輸入決済のための外貨確保に向けた継続的な支援と、海外のベストプラクティスに沿った中銀の独立性が必要なことが同委員会で確認された。

なお、中銀は今回の政変の直前(2024年7月)に、2024/2025年度上半期(2024年7~12月)の金融政策として、緊縮財政(2024年1月23日記事参照)継続の方向性を打ち出している。中間値(mid-rate)を基準とする為替制度(2024年5月10日記事参照)導入による外国為替市場の安定や商業銀行間の外貨取引の増加、商業銀行向け中銀の参考貸出金利(SMART:Six-months Moving Average Rate of Treasury bills)の撤廃、政策金利引き上げなどの施策の重要性や、外貨の需給ギャップにより2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)も約94億2,000万ドルのドル売り介入を迫られ、外貨準備高減少に直結したことなどに言及している。IMF基準に基づく最新(8月28日時点)のグロス値の外貨準備高は205億9,848万ドルと、政変後も横ばい傾向が続く中、インフレ抑制や外貨準備高の確保に係る施策が引き続き注目される。

(注)同システムでは、商業銀行やノンバンクが中銀から政策金利(9.0%)と上限金利(SLF、10.5%)の間の金利で資金の借り入れを行い、反対に商業銀行やノンバンクが余剰資金を中銀に貸し出す際には、下限金利(SDF、7.5%)の利率が適用される。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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