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パキスタン、上海協力機構の政府首脳評議会をホスト(パキスタン、中国、カザフスタン、ロシア、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、インド、イラン、ベラルーシ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月15日 14時0分

パキスタンは10月15~16日、上海協力機構(SCO)政府首脳評議会をイスラマバードでホストする。開催前日の14日には中国の李強首相をはじめ、参加する各メンバー国(注)の政府首脳がイスラマバード国際空港に次々と到着、シャバーズ・シャリフ首相自ら要人らを出迎える様子が現地テレビで放映された。

SCOは経済や文化、社会的価値観をメンバー国間で共有する共同体だ。年次会議の政府首脳評議会は、SCOで最高意思決定機関の元首理事会(サミット)に次いで、2番目の意思決定の場となる。パキスタン政府の発表によると、今回の評議会を通じて、実務により近い具体的なアジェンダについて議論を交わすことになっている。具体的には、同機構の予算配分・執行の承認、各メンバー国間で進行中の貿易投資、環境、社会文化分野のプロジェクトの協力体制確認、同機構が実施した各種活動の評価などがアジェンダに含まれる。また、基本的な理念として、テロリズムや過激主義に連携して対抗していくことがうたわれている。

2024年7月にはカザフスタンの首都アスタナでSCOサミットが開催された。翌2025年には中国がサミット議長国をカザフスタンから引き継ぎ、中国でサミットが開催されることが決まっている(2024年7月11日記事参照)。

SCOには現在10カ国が加盟しているが、鉱物資源を保有する中国をはじめ、ロシア、イラン、中央アジアの石油・天然ガスの産出国や、中国(約14億人)やインド(約14億人)、パキスタン(約2億4,000万人)といった世界の人口ランキング上位国が含まれる。今回、政府首脳評議会をホストするパキスタンは「中国パキスタン経済回廊計画(CPEC)」の枠組みで、既に中国と強力なパートナーシップを結んでおり、「一帯一路」構想の一翼を担っている。ほかに中東や新興国から成るオブザーバー国やパートナー国といった16カ国が加盟国候補として控えている。SCOを主導する中国は、SCOの実績とプレゼンスを高めることで、この共同体の国際社会での発言力の向上を目指している。

在カラチ日本総領事館によると、SCOに反対する野党・パキスタン正義運動(PTI)が首都イスラマバードでの抗議活動を全国的に呼びかけており、約3,900キロ離れた南部カラチ市などにも飛び火するかたちでデモや集会の可能性が考えられる。カラチに拠点を置く現地進出日系企業の中には、イスラマバード警備強化に伴って、カラチ周辺のセキュリティーが手薄になるとの見立てや、カラチ周辺でのデモなどの可能性に鑑み、この期間に急きょリモートワークを取り入れている事例が見られる。

(注)カザフスタン、中国、ロシア、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシの10カ国が加盟国。今回の評議会には、モンゴルがオブザーバー国として、トルクメニスタンがゲスト国として招かれている。

(糸長真知)

(パキスタン、中国、カザフスタン、ロシア、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、インド、イラン、ベラルーシ)

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