アブダビとフジャイラで食料安全保障ビジネスフォーラム実施（アラブ首長国連邦、日本）

ジェトロは10月7日から10日にかけて、アラブ首長国連邦（UAE）食料安全保障・アグリテック投資環境調査ミッションを実施した（2024年10月17日記事参照）。

10月8日は、アブダビ商工会議所とジェトロの主催でアブダビ食料安全保障ビジネスフォーラムが開催され、アブダビ投資オフィス（ADIO）やアブダビ農業・食料安全局（ADAFSA）、在アブダビ農業関連企業などが参加した。

ADIOからは、アブダビの投資環境や支援制度の説明が行われた。アブダビは13の経済クラスターでGDPを拡大させることを目指しており、その中の農業や水に特化した「AGWA（Agrifood Growth and Water Abundance）」クラスターをアブダビでの1つの投資機会とした。また、ADIOからの投資支援には、財政支援として、企業向けの金銭的インセンティブや製造業者の電気・ガス・土地賃貸代の払い戻し、IPO（新規株式公開）のための資金調達支援などがある。非財政的支援としては、オフィス移転やビジネス開始時の管理サービス、個人投資家のケア、IPOへのアドバイスなどが挙げられた。

ADAFSAは、食品・飲料市場へのアクセスを拡大するため、持続可能な農業慣行や農業・食品分野への投資促進や長期的な食糧確保などに取り組んでいる。具体的な活動としては、アブダビ国際食品展示会（The Abu Dhabi International Food Exhibition）や世界食料安全保障サミット（GFSS：Global Food Security Summit）の中での世界食料安全保障賞（Global Food Security Award）や2025年開始のアブダビ・イノベーション・農業技術展示会（Abu Dhabi Innovation and Agricultural Technology Exhibition）の開催を例に挙げた。

アブダビ食料安全保障ビジネスフォーラムの様子（ジェトロ撮影）

アブダビ投資オフィスアドバイザーのムハンマド・アル・ハサニ氏の発表の様子（ジェトロ撮影）

10月10日には、フジャイラ首長国の経済庁とジェトロの主催で食料安全保障ビジネスフォーラムが開催され、フジャイラの政府関係機関や商工会議所、在フジャイラ農業関係企業が参加した。フジャイラはUAEの7つ首長国のうち5番目の面積であるものの、唯一アラビア海に面しており、日本からの輸出入の際にもホルムズ海峡を通らずに港へアクセスすることが可能だ。ジェトロの前川信隆理事は冒頭のあいさつで「食料安全保障の面で重要な首長国であり、日本企業の投資の可能性を感じる」と述べた。フジャイラ経産庁からは、フジャイラでのビジネス機会として、採掘・海洋・石油化学・工業・航空・観光・教育・ヘルスケア分野が紹介された。また、10月6日にムハンマド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム首相兼副大統領も発表会に出席した、UAEにおける植樹促進の取り組みである「Plant the Emiratesプログラム」の概要についての説明も行われた（2024年10月6日付国営エミレーツ通信）。

フジャイラでの食料安全保障ビジネスフォーラムの様子（ジェトロ撮影）

冒頭あいさつを行うジェトロ前川信隆理事（ジェトロ撮影）

（太田尭久、加藤皓人）

（アラブ首長国連邦、日本）