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米商務省、IPEF交渉進展と今後の展望発表、発効に向け大統領選の行方にも注目(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月10日 13時25分

インド太平洋経済枠組み(IPEF)の閣僚級会合が6月6日にシンガポールで行われ、IPEFのクリーン経済協定、公正な経済協定、運用体制に関するIPEF協定が署名された(2024年6月7日記事参照)。これを受けて米国商務省は同日、IPEF交渉のこれまでの成果と今後の展望に関するファクトシートを発表した。

IPEFサプライチェーン協定については、現状の6カ国での発効に加え(2024年6月5日記事参照)、タイとマレーシアの批准を歓迎した。タイについては、米国国務省が6月23日付で発効することを発表している。また、IPEFサプライチェーン機関(2024年2月1日記事参照)の初のバーチャル会合を7月に、IPEFサプライチェーン協議会とIPEFサプライチェーン危機対応ネットワークの対面会合については、首都ワシントンで開催される米国商務省主催のサプライチェーンサミットに合わせ、2024年末までに開催することで合意したと発表した。

クリーン経済協定に関しては、協力作業計画(CWP)を拡大したほか、IPEFに参加する新興・上位中所得国で、クリーン経済インフラプロジェクトを拡大するための譲許的融資(注1)、技術支援、キャパシティービルディングを行うファンドの運用開始を歓迎した。また、インド太平洋地域のインフラ投資に今後数年間で計250億ドル以上の資金を投入できる投資家による新連合を発表した。

公正な経済協定では、市場の透明性と予見可能性向上のための技術支援とキャパシティービルディング(TACB)で、商務省や国連薬物犯罪事務所(UNODC)が主導する腐敗防止プログラムへの国務省による資金拠出などを発表した。

今回署名された3つの協定は、サプライチェーン協定と同様に、少なくとも5カ国が寄託してから30日後に発効する。IPEF参加国は今後、発効に向けて国内手続きを進めていくことになる。一方で、11月に米国大統領選挙を控える中、共和党の候補者指名を確実にしているドナルド・トランプ前大統領はIPEF脱退を公言している。サプライチェーン、公正な経済、IPEFの3つの協定は、協定発効後3年後から脱退可能と定めているが、クリーン経済協定は6カ月で脱退可能となっている。今回署名された各協定の発効に向けた手続きは、大統領選挙の行方もにらみながら進められていくことになる(注2)。

なお、今回の閣僚級会合を経て、IPEFの4つの柱のうち上述の商務省が管轄する3つの柱に関する成果は発表されたが、米国通商代表部(USTR)が管轄する貿易の柱に関する発表はなかった。貿易の柱では、デジタル貿易などを巡って意見の隔たりがあり、交渉が進んでいない(2024年6月6日記事参照)。

商務省はIPEF参加国や労働組合、企業などを集め、IPEFの協定に含まれる労働条項について議論する会合を8月に米国が主催する予定だとも発表している。

(注1)市場より低い金利など優遇された条件での融資。

(注2)ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選に関する最新動向を随時紹介している。

(赤平大寿)

(米国、日本、インド、ニュージーランド、韓国、シンガポール、タイ、ベトナム、ブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、オーストラリア、フィジー)

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