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ASEANエネルギーセンター(ACE)、アジア天然ガス・エネルギー協会(ANGEA)と覚書締結(ASEAN)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月20日 0時5分

ASEANエネルギーセンター(ACE、注1)とアジア天然ガス・エネルギー協会(ANGEA、注2)は8月27日、マレーシアのクアラルンプールにおいて、ASEANにおけるエネルギー転換を加速し、エネルギー安全保障を強化するため覚書(MOU)を締結した。

ACEとANGEAは、同MOUに基づき、「ASEANエネルギー協力行動計画(APAEC、注3)」の推進を支援し、ASEAN各国の経済成長、持続可能なエネルギー利用の推進、エネルギー安全保障の確保、低炭素社会への移行に向けた協力を強化する方針だ。具体的な協力内容には、天然ガスや炭素回収・利用・貯留(CCUS)技術の活用、メタン排出削減や電力市場にかかる知識の共有、研究開発の強化などが含まれる見込みだ。

同MOUの締結式で、ANGEAの最高経営責任者であるポール・エバリンガム氏は「ACEとANGEAは、経済成長と気候変動対策を両立させる各国の取り組みを強力に支援していく」と述べた。その上で、ASEANがこの目的を達成するためには、手頃な価格で液化天然ガス(LNG)にアクセスできることが重要だとし、同MOUが各国のLNG利用を推進するだろうと述べた。

ACEの副事務局長であるベニ・スルヤディ氏も、ASEANの石炭からクリーンエネルギーへの転換に向け、その橋渡しを担う燃料として、天然ガスの大幅な需要増加が見込まれると述べた。

例えば、ACEが2022年に発行した「The 7th AESAN Energy Outlook(2020 – 2050)」によれば、ASEANの最終エネルギー消費量(TFEC)を燃料別でみた場合、天然ガスは2025年の33石油換算メガトン(Mtoe)から、2050年の71Mtoeまで拡大すると予測される(注4)。

またスルヤディ氏は、ASEANにおけるCCUSの利用、メタン排出削減の重要性が高まっていること、さらにASEAN全体で再生可能エネルギーの利用を促進するためには、国家間での電力融通が重要であることを説明した。

日本が提唱する「アジアゼロエミッション共同体(AZEC)」では、移行エネルギーとして需要が高まる天然ガスやLNGの開発強化、またCCUSや水素・アンモニアを導入し、天然ガスを低炭素エネルギーとして使用することの重要性に言及している。同分野では、九州電力とタイ石油公社(PTT)がLNGの上流・中流の開発に向けたMOUを締結する(2023年)など、日ASEAN企業間の協力も見られる。

(注1)ACEは、ASEAN傘下の国際機関で、各国のエネルギー管轄省庁やASEAN事務局と連携し、地域のエネルギー戦略策定に向けた提言などを行う。

(注2)ANGEAは、シンガポールに拠点を置き、アジア各国のガス産業に関わる大手企業が会員。天然ガス活用などを通じ、アジアの脱石炭やエネルギー転換を支援する。

(注3)APAECは、ASEAN経済共同体(AEC)におけるエネルギー分野の協力枠組み。現在、APAECのフェーズ2(2021~2025)が進行中。

(注4)国際機関によるASEANのエネルギー需要の将来予測については、複数のシナリオが

ある。本稿記載の天然ガスの予測は、ASEAN各国が個別に設定した脱炭素目標を達成した場合(ATSシナリオ)に基づく。

(田口裕介)

(ASEAN)

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