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英国総選挙で野党・労働党が大勝、14年ぶりの政権交代へ(英国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月5日 15時10分

英国で7月4日、下院(定数650)総選挙の投票が行われた。事前の予想どおり、労働党が半数を大きく上回る議席を獲得し大勝、2010年まで続いたブレア政権以来14年ぶりの政権復帰となった。逆転を目指した保守党は、選挙活動中のスキャンダルやノルマンディー上陸作戦の式典からのリシ・スナク首相の途中退席に対する批判もあり、思うように支持を伸ばせず、労働党との差を埋めることはできなかった。

投票は4日午後10時(英国時間)に締め切られ、各選挙区で開票作業が行われている。労働党の獲得議席はトニー・ブレア党首(当時)の下で勝利した1997年、2001年の総選挙に続いて400議席を超え、現与党・保守党に大差をつけて勝利した。

労働党のキア・スターマー党首は自身の選挙区での当選を受け、支持者らを前に「英国の人々は変化に向けた準備ができている」と述べ、「われわれが実行に移す番だ」と続けた。保守党のスナク首相は自身の当選後、「今回の選挙は労働党の勝利だ」と敗北を認め、責任を取ると述べた。保守党は、国防相を務めたグラント・シャップス氏が落選するなど、複数の閣僚が落選している。

第三勢力の自由民主党と右派リフォームUKはそれぞれ議席を伸ばした。リフォームUKは、初の選挙による議席獲得となった(注)。同党のナイジェル・ファラージ党首は自身初となる当選後の演説で、同党の成果を「並外れたもの」と評価、労働党に対抗していく、と意気込みをみせた。

前回の総選挙で躍進したスコットランド国民党(SNP)は大きく議席を減らした。

5日に首相に任命、組閣へ

スターマー党首は7月5日に国王チャールズ3世によって首相に任命され、組閣を行う予定。その後、7月17日の議会の開会式で予定される国王による施政方針演説の中で、新たな議会で提案する政策や法案を発表する。

国際的なイベントも控える。7月9日から11日にかけて米国で行われるNATOサミットに出席することになるほか、7月18日にはロンドンで行われる欧州政治共同体(EPC)の会合も主催する予定だ。

英調査会社キャピタルエコノミクスは、出口調査での労働党大勝の予想を踏まえて、同党の政策が英国のGDPに対し一定の押し上げ効果があるとした。

写真 ロンドン市内の投票所(ジェトロ撮影)

ロンドン市内の投票所(ジェトロ撮影)

(注)保守党のリー・アンダーソン議員(当時)がリフォームUKにくら替えしたことから、議席は有していた。

(山田恭之)

(英国)

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