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新規・追加需要を対象に、再エネ供給制度CRESS始動(マレーシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月27日 1時10分

マレーシアのエネルギー移行・水資源変革省(PETRA)は9月20日、企業向け再生可能エネルギー供給制度(CRESS)のガイドラインを公表した(PETRAリリース)。需要側となる企業はマレー半島部で発電事業者と電力販売契約(PPA)を締結することで、太陽光をはじめとした再エネ由来の電力を国営電力会社テナガ・ナショナル(TNB)以外からも直接購入できるようになる。PETRAはこれに先立って7月26日、発電事業者が需要側に電力を直接販売する一方、送電を担うTNBに一定の電力託送料金を支払うサード・パーティー・アクセス(TPA)を解禁すると発表していた(PETRAリリース、マレー語のみ)。CRESSは、需要側に対して再エネ電力調達の選択肢を広げるとともに、TPAを通じてグリーン電力に関する環境・社会・ガバナンス(ESG)へのコミットメント確保を促すとPETRAは説明した。

PETRA傘下のエネルギー委員会(EC)によると、CRESSの対象は9月30日以降に中・高電圧を必要とする新規顧客、または追加電力購入を必要とする既存顧客に限定される。これは、政府が既に導入しているグリーン電力タリフ(2024年4月10日記事参照)や、企業グリーン電力プログラム(CGPP)といった、再エネ電力開発促進の取り組みと併存させるよう調整したためとみられている。

CRESSのスキームでは、発電業者がTNBの独立した部門(シングルバイヤー)に対して申請を行う(同部門による解説)。託送の基本料金は1キロワット時(kWh)当たり25セン(0.25リンギ、約8.6円、1リンギ=約35円)、エネルギー貯蔵システムを活用せずに安定的な電力供給が困難な場合には45センを適用する。料金は3年サイクルで見直される。発電事業者に適用される要件は、ガイドライン8.以降で詳説されている。

新スキームによる再エネ普及加速に期待

自然電力(福岡市中央区)の海外事業を行う子会社の自然インターナショナルは、ジェトロに対して9月26日、「脱炭素化を推進する選択肢が増えることは、企業にとっても非常に前向きな動き」と好意的なコメントを寄せた。同社コーポレートPPAグローバル統括の清水明美氏は「マレーシアが東南アジアの中でも先進的に脱炭素政策を強化する背景には、データセンターや半導体業界からの強い後押しがあるものと認識している。今回のスキームも、政府の産業政策と脱炭素化の両立に向けた本気度を示している」と分析する一方、エネルギー貯蔵システム(主に蓄電池)の設置が必須なことや、託送料の高水準な設定、CRESSが現時点で対象を限定していることによって既存工場で脱炭素化を目指す企業への導入が難しい点を制度の課題として指摘した。

PETRAは、マレーシアの電力供給量に占める再エネ比率を現在の26%〔10.6ギガワット(GW)相当〕から、2035年までに40%、2050年までに70%に高めるとの政府目標(2023年5月15日記事参照)達成に、CRESSが寄与すると見込んでいる。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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