公式選挙結果発表も、政府と選管への不信は強まる(モザンビーク)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月30日 15時30分
モザンビーク選挙管理委員会(CNE)は10月24日、同月9日に投票が実施された大統領・国会・州議会議員選挙の公式集計結果を発表した。
大統領選挙では、与党モザンビーク解放戦線(FRELIMO)が擁立するダニエル・チャポ氏が得票率70.67%(有効得票491万2,762票)で勝利した。「モザンビーク発展のための楽観的な党」(PODEMOS)の後援を受け、無所属候補として立候補したベナンシオ・モンドラーネ氏は得票率20.32%(141万2,517票)で次点となった。大統領選の投票率は、43.48%(登録有権者数1,716万9,239人、投票数746万4,822)と5年前の前回選挙(2019年12月9日記事参照)の51%を下回った。
国会議員選挙(全250議席)では、FRELIMOが現議席数を11議席上回る、過去最多の195議席を獲得し、これまで議席がなかったPODEMOSが31議席を獲得した。最大野党のモザンビーク民族抵抗運動(RENAMO)は60議席から20議席、野党第2党のモザンビーク民主運動(MDM)は6議席から4議席へとそれぞれ議席数を減らした。CNE発表の公式選挙結果は、憲法評議会の承認をもって最終確定となるが、最終確定の期日は選挙法に規定されていない。
今回の集計結果について、国内外の市民団体や野党側勢力は疑問を呈している。EU選挙監視団は22日と25日に発表した声明で、票集計の不正や選挙結果の改変を指摘しており、CNEが発表した結果は指摘事項に対する疑念を払拭するものではないとしている。モンドラーネ氏は24日夜に自身のフェイスブックで行ったライブ演説で、公式結果は不正なものだと述べ、支持者に対し抗議活動の継続を呼びかけた(2024年10月22日記事参照)。同氏の配信は大きな注目を集め、最大同時接続数は10万を超えた。配信翌日の25日午後から26日朝にかけ、モザンビークのほぼ全土において、主に携帯電話会社が提供するインターネット回線が不調、または遮断される事態が発生した。モザンビークでは、モンドラーネ氏の配信やデモ隊と警察との衝突など、不正選挙への抗議に関連する動画がSNSを通じて多く拡散されており、メディアや一部の市民団体は、政府による意図的な通信制限だと訴えている。
(松永篤)
(モザンビーク)
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