米国務省、ベトナムとの初の包括的戦略パートナーシップ経済対話を実施(米国、ベトナム)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月27日 11時0分
米国国務省は6月25日、ベトナムとの包括的戦略パートナーシップ経済対話(CSPED)を初めて実施したと発表した。米国側はホセ・フェルナンデス国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)が、ベトナム側はグエン・チー・ズン計画投資相が参加した。両国関係は、ジョー・バイデン大統領がベトナムを訪問した2023年9月に、ベトナムにとって外交上、最上位の「包括的戦略パートナーシップ」に格上げされていた(2023年9月12日記事参照)。
国務省の発表によると、CSPEDにおいてフェルナンデス次官とズン計画投資相は、半導体サプライチェーン強靭(きょうじん)化での協力拡大、ベトナムのハイテク労働力への支援、再生可能エネルギーへの移行促進と気候変動対策の履行、重要鉱物に関する協力、貿易と国際金融における安全保障リスクの管理、サイバーセキュリティーと重要な情報通信インフラの強化、ベトナムの法的規制環境が質の高い投資を誘致し持続可能で包括的な経済成長を促進するのを確実にするための協力について議論した。また、次回のCSPEDを2025年春に行うことで合意した。
なお、米国商務省国際貿易局(ITA)は現在、ベトナムの非市場経済国ステータスの見直しを行っている(注)。見直しは2023年10月に開始され、270日以内に完了する必要があるため、2024年7月中には結果が出る。米国では、非市場経済国に対してアンチダンピング関税(AD)や補助金相殺関税(CVD)を算定する際、ADなどの対象製品と同等の製品を生産している経済発展度合いが同等の国の市場価格を用いることができるため、一般的にダンピングマージンなどは高く計算される。米通商専門誌「インサイドUSトレード」(6月25日)によれば、ベトナムは、両国関係を包括的戦略パートナーシップに格上げする際、米国に対して市場経済国として認定するよう求めていた。ベトナムにとって市場経済国としての認定は、米国との協議で最優先事項だったという。
(注)現在、米国が非市場経済国としているのは、ベトナムのほか、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、中国、ジョージア、キルギス、モルドバ、ロシア、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン。ロシアについては2022年11月に、初めて市場経済国認定が取り消され、非市場経済国として認定された(2022年11月14日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国、ベトナム)
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