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国際知的財産保護フォーラムとベトナム市場管理総局、模倣品対策強化へ意見交換(ベトナム、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月8日 0時40分

ジェトロが事務局を務める国際知的財産保護フォーラム(IIPPF、注1)は10月24日、特許庁委託の模倣品対策強化事業の一環として、ベトナムの模倣品対策について、ベトナム市場管理総局(DMS)のチャン・フー・リン総局長らと意見交換会を実施した。同氏は2018年の就任以来、初めての訪日だった。

DMSは、ベトナム国内で模倣品取り締まりに関わる最も主要なエンフォースメント(執行)機関の1つだ。模倣品に限らず、市場に広く流通する違法・不正商品や、その流通の摘発などを所管している。

日本側からは、IIPPF座長のセイコーエプソン執行役員で知的財産本部長の小林利彦氏をはじめ、ブランドオーナーら10企業・団体が参加。ECプラットフォーマーとの連携のあり方や、模倣品製造業者の所在地や氏名といった情報公開の可否などについて、DMSへの質問や協力依頼を行った。また、日本ベアリング工業会はスマートフォンアプリを用いて簡単にベアリング(軸受け)の真贋(しんがん)判定ができる最新技術を紹介した。

リン総局長は「とりわけオンライン取引で模倣品が増えている現状を痛ましく思う。DMSと日本企業・団体で密に情報共有することで、模倣品の流通を削減していきたい。ベトナムでは、自動車から食品まで日本企業の製品が広く普及しているため、日本製品の偽造行為については、特に迅速に対応したい」と、執行機関として積極的に関与する姿勢を示した。また「製品を提供する企業も、どこでどのように真正品を入手すればよいか、広く周知していく必要がある」とし、ベトナム当局側での取り締まりと同時に、企業の啓発活動が一層効果的な模倣品対策につながると強調した。

IIPPFとDMSは2024年2月のセミナー(注2)をはじめ、これまでも継続的に接点を持ち、関係構築を行ってきた。今回のDMS訪日を契機に、今後の協力体制についてより具体的な議論が進展する見通しで、ベトナムでの日本製品の模倣品取り締まりの強化が期待される。なお、今回の意見交換会に併せ、DMSと特許庁との間でも会談が実施された。

写真 DMSとIIPPF企業(特許庁提供)

DMSとIIPPF企業(特許庁提供)

写真 意見交換会に参加したDMS職員5人。中央がリン総局長(特許庁提供)

意見交換会に参加したDMS職員5人。中央がリン総局長(特許庁提供)

(注1)IIPPFは2002年4月、模倣品・海賊版など海外での知的財産権侵害問題の解決に意欲を有する企業・団体によって設立され、2024年3月現在で約250団体・企業が参加している。IIPPFを構成する地域・分野別の各プロジェクトでは、海外の政府機関や専門家などとの意見交換会などを実施している。

(注2)IIPPFは2024年2月にもハノイで、DMSとベトナム科学技術省監査局(IMOST)との共催で「ベトナムエンフォースメント機関職員向けセミナー」を開催した(2024年3月18日記事参照)。

(上原広夢)

(ベトナム、日本)

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