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マクロン・フランス大統領、即位25周年のモロッコ国王に書簡で西サハラ問題に言及(フランス、モロッコ、アルジェリア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月6日 0時55分

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、7月31日に即位25周年を迎えたモロッコ国王モハメド6世に宛てた書簡で、「西サハラの現在と未来はモロッコの主権の枠内にある」と述べ、西サハラ問題でモロッコ支持の立場を表明した。前日の30日にモロッコ国王官房が公表した(2024年7月30日付モロッコ外務省プレスリリース)。

マクロン大統領は書簡で、2007年にモロッコが発表した同国主権下での西サハラ自治案について、「フランスの支持は明確かつ不変だ。国連安保理の決議に従って、公正で永続的な、交渉による政治的解決を達成するための唯一の基盤だ」とした。フランスのフランソワ・オランド前大統領は同自治案について、「交渉による解決のための真剣で信頼できる議論の基盤」との表現にとどめ、マクロン大統領もこの立場を維持してきた。今回の書簡では、西サハラのモロッコ領有権を承認するとは述べていないものの、事実上の承認と解釈できるような表現を用いて、モロッコへの支持を明確にした。

モロッコの南側に位置する西サハラは、モロッコが大部分を事実上支配する一方で、アルジェリアが支援する「ポリサリオ戦線」による独立運動が続いている。2021年にはモロッコが西サハラ問題の解決への取り組みを拒否していることなどを理由に、アルジェリアがモロッコとの国交を断絶した(2021年8月31日記事参照)。こうした中、米国は2020年12月に、モロッコとイスラエルの国交正常化との引き換えで、モロッコの自治案の支持に転じた。以来、モロッコは欧州諸国に対しても働きかけを強めており、これまでにドイツ、オランダ、スペインなどの支持を得ている。

フランス政界では、ニコラ・サルコジ元大統領、ラシダ・ダチ文化相、エドアール・フィリップ元首相などがモロッコ寄りの姿勢を示しており、マクロン大統領はこれら右派の有力政治家への配慮から今回の方針転換を決めたとの見方がある(2024年7月30日付「レゼコー」紙)。また、2024年2月にはステファヌ・セジュルネ外相がモロッコ政府による西サハラへの投資計画への支持を表明。4月にはフランク・リステール貿易担当相がフランス開発庁(AFD)傘下のプロパルコによる西サハラでの送電線整備案件に対する融資を発表するなど、フランス政府が西サハラでの投資機会に積極的に参画する方針を示していた。

アルジェリアはこうしたフランスの動きに警戒感を募らせていたが、今回の発表に強く反発。書簡公表と同じ30日に、アルジェリア外務省は駐フランス大使の即時召還を行い、翌31日に「フランスは西サハラ人民の自決権を否定し、国連が展開してきた努力に背を向けた」との声明を発表。現地報道では、9月のアルジェリア大統領選挙後に予定されていたアブデルマジド・デブン大統領のフランス公式訪問の実現も困難とみられている。

(山田尚徳)

(フランス、モロッコ、アルジェリア)

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