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米国の最重要激戦州ペンシルベニア州でトランプ氏勝利、経済問題に最も精通した候補者像アピール(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月7日 10時35分

米国大統領選挙の投開票が11月5日に行われ、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領が勝利を確実にした(2024年11月7日記事参照)。勝利を決定づけたのは、激戦7州の中で19人と最も選挙人の多いペンシルベニア州での勝利だった。

AP通信(米東部時間11月6日午後7時時点)によると、トランプ氏の得票率は50.5%で、民主党候補のカマラ・ハリス副大統領の48.6%を上回った。ペンシルベニア州の大都市フィラデルフィアやピッツバーグ、州都ハリスバーグなどではハリス氏が優勢だったものの、そのほかの多くの選挙区はトランプ氏が制した。政治専門紙「ポリティコ」(11月6日)によると、トランプ氏は同州で、インフレに苦しむ有権者にとって経済問題に最も精通した候補者だとするイメージを強調し、関税や不法移民の強制送還に関する政策を示すとともに(注1)、天然ガス産業が盛んな同州で重要な政治問題となっている水圧破砕法(フラッキング、注2)について、ハリス氏が立場を二転三転している点を取り上げるといった選挙キャンペーンを展開した。エマーソン大学が9月に発表した「有権者が考える自州が直面している課題」で、同州では経済との回答が52%と、激戦州の中で最多となり、経済問題を重視する割合が高かった。ハリス氏は2020年の大統領選予備選挙に立候補した際に、フラッキングを禁止すると述べた一方、今回の選挙戦では「シェールガスの採掘を禁止したいわけではなく、副大統領として禁止する動きも起こしていない」「気候変動への対応に関する『価値観』は変わっていない」と曖昧な回答に終始していたことが響いた(2024年9月2日記事参照)。

同州の連邦上院議会選挙では、現職のボブ・ケーシー議員(民主党)に対して、ブッシュ政権下で次席大統領補佐官(国際経済問題担当兼国家安全保障問題担当)などを務めたデビット・マコーミック氏(共和党)が挑む構図になっている。事前の予測では、ケーシー氏にとってこれまでの選挙戦で最も厳しい戦いになると見込まれていたとおり(2024年4月25日記事参照)、マコーミック氏の得票率が48.9%、ケーシー議員が48.5%と接戦で、結果は確定していない。民主党は既に上院選挙で、ウェストバージニア州、オハイオ州、モンタナ州で共和党に議席を奪還され、2025年からの新議会で共和党が多数党になることが確実視されているため、少しでも議席数の差を縮めるために、ケーシー議員の議席は確保したいところだ。

連邦下院選は全17選挙区のうち、共和党と民主党がそれぞれ7議席の獲得を確実にしている。残りの3つ選挙区ではまだ結果が出ていないが、いずれも共和党候補が若干リードしている。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙結果と各国・地域の反応」では、大統領選の結果状況と各国の反応に関する最新動向を随時紹介している。

(注1)共和党の政策綱領を基にしたトランプ氏の政策分析は、2024年8月9日付地域・分析レポート参照

(注2)石油・ガスを含む頁岩(シェール)層に酸などの化学物質が混入した水を注入して、シェールオイルやシェールガスを採取する方法。地盤への砂、水、化学薬品の注入に起因する潜在的な健康リスクを懸念する指摘もある。

(赤平大寿)

(米国)

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