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山形大学とオランダのTNOホルストセンター、サステナブルエレクトロニクス分野で協定締結(日本、オランダ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月21日 1時5分

山形大学とオランダのTNOホルストセンター(注1)は1113日、サステナブルエレクトロニクス分野でイノベーションを推進することを目的として、包括連携協定を締結した。同協定締結は、ジェトロが9月に実施した「地域エコシステムへの外資誘致プログラム」(注2)で同センターを招聘(しょうへい)し、山形県のみならず日本全国から関連企業や大学研究者、総勢140人が参加した「日蘭ジョイントワークショップ」が契機となった(2024年9月13日記事参照)。同センターとは、同大学有機エレクトロニクスイノベーションセンターの時任静士卓越研究教授のネットワークを通じ、10年ほど前から交流が行われてきたが、同ワークショップでは対面開催が実現し、ここで両者が腰を据えて話ができたことが後押しとなり、招聘からわずか2カ月ほどで連携協定に至った。

写真 連携協定の調印式(ジェトロ撮影)

連携協定の調印式(ジェトロ撮影)

協定の調印式では、両機関がプリンテッド(注3)と半導体を含めた周辺技術を発展させると同時に、サステナブルエレクトロニクス分野の重要性を国内外に発信していくことを確認した。特に電子製品を製造する際に排出される二酸化炭素(CO2)や廃液を減らすなど、環境面で先進的な研究を相互に進めていく。また、近く同大学の学生を同センターに研究員として派遣することも確認し、人材育成の面でもこの協定を活用していく。

オランダ・ブラバンド州のマルタイン・ファン・フラウトハウゼン副知事の祝辞では、「山形大学の材料科学と印刷技術の専門知識は、同センターのフレキシブル電子機器(注4)の技術と完全な補完関係にある。この補完関係により、例えば、医療分野であれば、高齢化社会での見守りシステムの改善や、電子機器ではより環境に配慮した製品開発が可能となる。地域間のエコシステムの発展により、技術を進歩させるだけでなく、文化や価値観の架け橋を築くことができる」と期待を寄せた。

調印式を終え、同大学で協定締結に尽力したオープンイノベーション推進本部副本部長の高橋辰宏教授は、協定を通じて「山形大学がTNOホルストセンターと日本企業・機関との間の基礎学術から応用開発、研究者交流、人材育成のゲートウエーとなる役割を担い、サステナブルエレクトロニクスを促進していきたい」とコメントした。今後、山形大学とTNOホルストセンターの連携を通じて、両機関が有する環境に配慮したプリンテッドやその周辺技術の研究開発が促進されることで、サステナブルエレクトロニクス分野が発展していくことが期待される。

(注1)オランダの研究機関の応用科学研究機構(TNO)と、ベルギーのimec(半導体エレクトロニクスの研究機関)が共同で2006年に設立した、プリンテッド&フレキシブルエレクトロニクスの実用化を目指す研究所。オランダ・アイントホーフェン市。連携企業は全世界に約60社。20カ国以上から約200名の研究者・スタッフが勤務。

(注2)ジェトロによる、地域のエコシステム関係者と連携し、外国・外資系企業の国内地域への誘致や国際協業連携を推進するプログラム。

(注3)ソリッドフレキシブル基板に対して、導電性・半導体・絶縁性インクなどの印刷技術を用いて電子回路やデバイスを製造する技術。

(注4)基板に相当するものが折り曲げることができるフレキシブルエレクトロニクスを使用した電子機器。

(大嶋健太郎、古賀健司)

(日本、オランダ)

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