ラオスで脱炭素ビジネス連携を探る、ジェトロがミッション派遣(ラオス、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月13日 0時25分
ジェトロは10月29~31日、「ラオス脱炭素ソリューションビジネスミッション」を派遣した。このミッションには、植林や廃棄物処理、カーボンクレジットなど、同国での脱炭素分野の新規ビジネス創出や、事業拡大に関心を持つ日本企業17社が参加した。
ミッション団は3日間にわたり、首都ビエンチャンの廃棄物リサイクル工場や電力インフラ施設、都公共事業運輸局、脱炭素化に取り組むビール工場などを訪問し、現地政府や有力な地場企業と交流した。
ラオスでは、総発電量の約8割を水力で賄うなど、クリーンエネルギーが電力供給の中心だ。視察の一環で訪問したナムグム第1水力発電所では、設備や運用体制の説明を受け、再生可能エネルギーの環境価値を生かしたビジネスの可能性について意見交換を行った。
ナムグム第1水力発電所の視察(ジェトロ撮影)
また、同国の豊かな自然環境を生かしたカーボンクレジット事業への注目度が高まる中、ラオスの大手エネルギー開発企業ポンサップタビーグループを訪問した。同社は2030年までに水力・風力発電やREDD+、AWD(注1)など18のプロジェクトに投資を予定しており、事業の共同開発やクレジット登録・認証支援などの面で日本企業との連携に意欲を示した。日本企業側からは、「グループ全体の温室効果ガス(GHG)排出量を算定し、国際市場での情報開示を通じてラオスの脱炭素モデルケースをともに構築したい」といったコメントがあり、ラオス全体での算定ルールや排出係数データなどのソフトインフラ整備の重要性も指摘された。
ミッションプログラムの一環として、ラオス政府の担当者を招いて開催したセミナーでは、同政府が進めているカーボンクレジット取引の本格化に向けた法整備の概要(注2)について解説があった。日本企業からは、このような法整備が国際的に需要の高いカーボンクレジットの創出につながると評価があった一方、分野によって管轄省庁が異なる点や申請方法の複雑さが課題として指摘された。セミナー後、日本企業と現地企業約20社による個別商談会が実施され、ラオスの脱炭素化や森林保全、廃棄物処理を含む社会課題解決に向けた日本企業の技術導入や協力体制の構築について具体的話し合いがもたれた。
ラオス政策担当者によるプレゼンテーション(ジェトロ撮影)
(注1)REDD+とは、森林減少・劣化防止による排出量削減を達成した途上国政府に対して支払いを行うフレームワークのこと。間断灌漑技術(AWD)とは、水田に水を張る湛水(たんすい)と、水を抜く落水を繰り返す農法で、灌漑の節水と温室効果ガス(GHG)削減が可能とされる。
(注2)このセミナーで解説があった「森林カーボン管理に関する農林大臣合意4565号」(2024年9月30日記事参照)と、「カーボンクレジットに関する政府令の草案」(2024年10月3日記事参照)については、ジェトロのビジネス短信を参照。
(山中真菜)
(ラオス、日本)
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