ベルギー産業界、米次期政権で地政学リスク悪化を懸念、競争力確保など求める(ベルギー、米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月2日 11時30分
米国大統領選挙の結果(2024年11月7日記事参照)を受け、ベルギー北部のフランダース地域の商工会議所(VOKA)は11月6日、不安定な世界情勢下にさらなる不確実性をもたらす恐れがあるとして、地政学的な観点から警鐘を鳴らした。米国が輸入品に追加関税を賦課した場合、ユーロ圏の加盟国の経済活動は1.5%落ち込むと予測し、輸出企業が多く集積する同地域は特に影響を受けるという。米国は重要な同盟国かつ貿易相手国だが、欧州、ベルギーは経済的にも軍事的にもより自立する必要があるとした。EUは、過剰な規制で企業の成長を妨げているとし、企業の競争力と生産性の回復を優先事項とすることを求めた。
南部のワロン地域の商工会議所(akt)は11月14日、保護主義を柱とする米次期政権の政策は世界経済に影響を与えかねず、特に小規模で開放的な経済圏の同地域は大きな影響を受けると警戒した。aktの調査によると、同地域の約70%の経営者が地政学的緊張の高まりに懸念を示し、うち半数は、国際競争力の維持が難しくなり、事業に悪影響を及ぼすと回答した。ユーロ圏の産業成長力は依然として脆弱(ぜいじゃく)で、エネルギー価格の高止まりは企業の利益率を圧迫しており、同地域の輸出見通しは悪化している。
ベルギーにとって米国はEU域外最大の輸出相手国で、2023年は輸出全体の7%を占める。aktはEUに対して、経済的な主権を確保し、欧州経済の活性化に向けて、今後の世界情勢を見据えた新たな産業戦略の策定を求めた。また、ベルギーの連邦政府には、一刻も早い新政権樹立を要求した。ベルギーは6月の総選挙(2024年6月14日記事参照)後の連立交渉が難航し、新政権がまだ樹立していない。
(大中登紀子)
(ベルギー、米国)
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