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米商務省、ロシアやイランへの制裁回避などの理由から26事業体をELに追加(米国、パキスタン、中国、アラブ首長国連邦、エジプト、ロシア、イラン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月23日 11時10分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月21日、パキスタンや中国などの26の事業体をエンティティー・リスト(EL)に追加すると発表した。ロシアとイランに対する米国の制裁や輸出規制の回避などを理由としている。

今回追加する事業体の所在地は、パキスタンで16、中国で6、アラブ首長国連邦(UAE)で3、エジプトで1となっている。ELは、米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、BISの事前許可が必要となる。ただし、今回追加する26の事業体に対しては、「原則不許可」の審査方針がとられるため、実質的には輸出などができなくなる。

今回追加のパキスタンの9の事業体は、同国の先進エンジニアリング研究機関(AERO:Advanced Engineering Research Organization)のダミー会社や調達代理業者であることを理由に追加された。AEROはパキスタンのミサイルや無人航空機(UAV)の開発支援のため、米国の機微技術の調達に関与したとして、2014年にELに追加されていた。残りの7事業体は、パキスタンの弾道ミサイル計画への関与を理由に追加された。

中国の事業体はいずれも、中国軍の現代化を支援するための米国製品の調達や最終用途(エンドユース)の確認に対する遅延や回避行為、イランの大量破壊兵器やUAV開発支援のための米国製品の調達への関与が追加の理由だ。

UAEとエジプトの事業体は、ロシアのウクライナ侵攻を理由とする米国の制裁、輸出規制を回避するために米国製部品を調達した、または調達を試みたとして追加された。

BISで輸出管理の執行を担当するマシュー・アクセルロッド次官補は「米国製品を積み替えて、パキスタンやイランのような国の大量破壊兵器やUAVプログラムを支援したり、ロシアの戦争遂行能力を支援したりする当事者を特定した場合は、措置を講じる」「外国の当事者が米国のエンドユース確認に対して遅延や回避行為を行った場合には、相応の措置が取られる」と述べた。また、政治専門紙「ポリティコ」(10月21日)は、中国、UAE、エジプト、パキスタンの企業などをELに追加することは、ロシアとイランが軍備増強のために欧米の制裁や輸出規制を回避するために利用しているグローバルなサプライチェーンの複雑な網の目を明らかにすると指摘した。

今回のEL追加は10月23日に正式に官報で公示され、同日から効力を有する。同官報では、人権侵害対策に改善がみられたことなどから、カナダの事業体のELからの除外も規定している(2024年10月23日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国、パキスタン、中国、アラブ首長国連邦、エジプト、ロシア、イラン)

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