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習国家主席とボルアルテ大統領、チャンカイ港の開港式に参加(ペルー、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月18日 14時20分

中国の習近平国家主席とペルーのディナ・ボルアルテ大統領が参加して、中国国営の海運大手、中国遠洋海運集団(COSCO)が60%出資するチャンカイ港の開港式が1114日、ペルーで開催された(2024年10月3日記事参照)。

当初は港湾施設内で開催する予定だったが、チャンカイは首都リマから北へ80キロの距離にある小さな町で「セキュリティーの問題から」という理由で、中国政府の要請により予定を変更。チャンカイの港湾施設と首都リマにある大統領府をオンラインで結ぶハイブリッド形式で行われた。

習国家主席は「チャンカイ港は南米でも有数の高機能で環境にやさしい港湾である。今日から、チャンカイ港は新時代の『カミノ・デル・インカ(インカ道)』となる。チャンカイからチャンガイ(=上海のスペイン語の発音)へ!」とあいさつした。

ボルアルテ大統領は「この港湾の重要性は言うまでもない。わが国の産品を効率的にアジア市場へ輸送できるだけでなく、雇用を生みペルー経済を活性化させ、わが国の競争力が高まることにつながる。また、中南米諸国を世界で最も躍動的なアジア太平洋地域の市場へつなげることにも役立つ。チャンカイ港を世界とつながる港湾として利用してもらおう」とあいさつした。さらに、「チャンカイ港のみならず、リマ空港とカジャオ港の活用、さらに将来的な鉄道網の構築、税制優遇などの経済特区(ZEE)の検討、工業団地の造成をすすめることで、ペルーを世界貿易の重要な位置に引き上げていく」と展望を述べた。

政府系メディアの「エル・ぺルアノ」によると、開会式に先立ち行われたボルアルテ大統領と習国家主席との会談で、中国側より、両国の貿易拡大のため中国税関(GACC)とペルー国税庁(SUNAT)の協力を強化する用意があることが伝えられた。具体的な協力の内容は明らかにされていない。

チャンカイ港の開港式は、地元プレスでも多く報じられた。「エル・ぺルアノ」では、チャンカイ港による貿易環境改善のメリットが強調された。一方で、経済紙「ヘスティオン」は、経済団体がチャンカイ港周辺のインフラ整備に課題があることを問題視していることを紹介。またチャンカイ港は、コンセッションによるものではなく、民間企業のイニシアチブによる港湾であることから、公共交通施設投資監督庁(OSITRAN)が港湾運営や港湾施設使用料の監督をどこまでできるのか不透明な部分が多いことの説明に紙面を割いた。一般高級紙「エル・コメルシオ」は、社説でチャンカイ港の開港式を取り上げ、「港湾周辺のインフラ整備を政府がどのように実行し、いつ完了するのか注視が必要」として、政府に注文を付けた。

(石田達也)

(ペルー、中国)

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