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EUのロシア産穀物輸入関税引き上げが発効、ロシアへの影響は限定的(ロシア、EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月8日 0時50分

EUは7月1日、ロシア産の穀物、油糧種子、穀物製品の輸入関税を引き上げた。ロシア産穀物の輸出先に占めるEUの割合は高くないため、ロシアへの影響は限定的とみられる。

EUのロシア産穀物の輸入関税引き上げに関する規則は、3月22日に欧州委員会により提案された。その後5月30日にEU理事会(閣僚理事会)により採択され、7月1日から適用された。今回の規則の適用により、例えばロシア産デュラム小麦のEUの関税は無税から1トン当たり148ユーロに、ライ麦は無税から1トン当たり93ユーロに変更となった。ロシア産穀物製品の輸入が急増した場合のEU市場の不安定化回避と、ウクライナ領内で生産され、違法に強奪された穀物をロシア産と偽って輸出することや、穀物輸出の収入が戦費に充てられるのを防止することが目的。なお、EUを経由して第三国に輸出される産品に影響はない(2024年3月28日記事参照)。

EUによる今回の措置のロシアへの影響は限定的とみられる。ロシア産穀物の大口顧客は主に中東やアフリカ諸国であるためだ。ロシア穀物連合のエレーナ・チュリナ分析部長によると、2024年5月のロシア産小麦の輸出量は400万トンで、輸出先の上位5カ国はエジプト(51万5,000トン)、トルコ(35万7,000トン)、イエメン(28万8,000トン)、ケニア(25万トン)、バングラデシュ(24万8,000トン)だった。大麦の主な買い手はサウジアラビアとイランで、トウモロコシの主な出荷先はイラン、トルコ、リビアとなり、輸出先としてのEUの存在感は大きくない(インターファクス通信5月28日)。

2023年のロシアの穀物輸出量は6,600万トンと過去最高を記録した。2024年は霜害と干ばつの影響により、生産量の減少が懸念されるが、ロシア農業省は前年と同水準の穀物収穫量を見込む。オクサナ・ルト農業相は「まだ(2024年の穀物生産や輸出量の)予測を修正する予定はない」と述べている(インターファクス通信5月27日)。アンドレイ・ラジン農業省次官も「広い国土を持つロシアでは、毎年どこかの地域で、農業生産に影響を与える気候の異常が発生する。しかし、一般的には、近代的な農業技術と生産技術の活用により、関連するリスクを最小限に抑えている」と述べ、当初計画された収穫量を達成できる見込みを示した(RBK6月27日)。

(後藤大輝)

(ロシア、EU)

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