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電気料金を11カ月ぶりに改定、4.8%引き上げ(ベトナム)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月29日 0時0分

添付資料PDFファイル(102 KB)

ベトナムで電力事業を担う国営企業のベトナム電力公社(EVN)は10月11日、電気料金を4.8%引き上げると発表した。付加価値税を除いた平均電気小売料金は1キロワット時(kWh)当たり2,103.12ドン(約12.4円、1ドン=約0.0059円)となる。引き上げ後の料金は公布当日から適用した。価格設定は用途や時間帯によって異なり、工業分野では、1kWh当たり1,094ドンから3,474ドンの間で価格設定した(添付資料表参照)。

電気料金の引き上げは2023年11月以来、約11カ月ぶり(2023年11月20日記事参照)。電気料金は2023年初めと比べ13%近く上昇したことになる。企業や家庭の負担増が懸念されるが、直近の経済成長の加速や消費者物価指数(CPI)の低下などの状況を踏まえ、料金引き上げを決めたとみられる。EVNによると、今回の値上げによる2024年のCPI上昇は約0.04%にとどまり、政府の支援により貧困世帯などへの影響はほとんどないと見込む。

今回の値上げにより、EVNの財政難の要因となっていた発電コストが販売料金を上回る逆ざや状態の解消が期待される。商工省によると、2023年のEVNの発電コストは1kWh当たり2,088.9ドンと推計され、EVNは2023年に発電事業単体で34兆ドンを超える赤字を計上していた。今後も増大する電力需要に対応し、電源開発や送電網整備などによる電力供給の安定を図るには、EVNの財務状況を改善し、投資の財源を確保する必要がある。

商工省はこの課題解決や電力政策を一層推進するため、市場原理に基づく電力価格の調整や競争市場を促す内容を盛り込んだ電力法の改正を目指している。現地報道によると、10月21日に開幕した第15期(2021~2026年期)第8回ベトナム国会で審議をしているが、早くても次期国会(2025年5月)での法案可決となりそうだ(「共産党」紙10月21日)。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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