1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

湖北省武漢市で「炭素市場大会」、気候変動に関する会合が相次いで開催(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月26日 1時0分

中国・湖北省政府、上海市政府、生態環境部共催の「2024年 中国炭素市場大会」が7月21日に湖北省武漢市で開催された。黄潤秋生態環境部長、王蒙徽湖北省共産党委員会書記、龔正上海市長らが出席した。黄部長はあいさつの中で「全国炭素排出権取引(全国ETS)市場は2つの約束履行期間の運営を成功裏に完了し(注1)、企業の炭素排出量削減の責任の履行と関連技術の進歩を促した」と述べた。また、王書記は、排出権の登録・決済システムのさらなる機能向上による炭素市場・炭素金融センターの構築を加速すると強調。龔市長も、高い水準の炭素市場の建設を推進することでグリーン金融を強化していく旨などを表明した。なお、現段階において、湖北省は全国ETS市場における登録・決済システムを、上海市は全国ETS市場における取引システムを担当している(注2)。

大会において、「全国炭素市場発展報告(2024年)」が発表された。同報告によると、2021年7月に全国ETS市場が発足して以降、これまでに2,257社の重点排出事業者が取引に参加。同事業者による二酸化炭素(CO2)排出量は年間約51億トンと、全国の40%以上を占めることから、全国ETS市場は世界最大の温室効果ガス排出量をカバーする市場となっている。また、同報告では、2024年1月に正式に発足した全国温室効果ガス自主的排出削減量取引市場は(2023年9月22日記事参照)、全国ETS市場に続き、ともに2030年のカーボンピークアウト、2060年のカーボンニュートラル実現を推進するための政策手段だと指摘。全国ETS市場という強制的(義務的に割り当てられた排出枠について取引する)炭素市場は、重点排出事業者の排出行動を厳しく管理し、自主的排出削減量取引市場は、社会全体の幅広い参加を促すものとしている。同市場では、多様な参加者が排出削減カーボンクレジットである中国認証排出削減量(CCER、注3)を取引している。

同日には、中国、南アフリカ共和国、ブラジル、インドによるBASIC気候変動閣僚級会合が武漢市で開催された(インドはオンライン参加)。黄部長のほか、南アのジョージ・トラバース森林漁業環境相に加え、ブラジル(環境気候変動省)、インド(環境森林気候変動省)からも閣僚級の幹部が参加した。同日付の生態環境部の発表によると、会合において黄部長は「中国は、BASICメカニズムを非常に重視しており、インド、ブラジル、南アとともに団結と協調を強化し、対話と協力を深め、多国間主義を維持、実践し続け、人類が自然と調和して生きる美しい地球を築くために協力する用意がある」と述べた。これに対して、インド、ブラジル、南アは中国の発言に積極的に応じるとともに、BASICメカニズムが多国間プロセスにおいてより大きな役割を果たすこと、開発途上国全体との連帯を維持することへの支持を表明した。

(注1)事業者に義務的に割り当てられた炭素排出枠(CEA)について、履行実績を管理するための期間を指す。第1期は2021年7月16日の全国ETS正式運用開始日から同年12月31日まで、第2期は2022年1月1日から2023年12月31日まで。

(注2)全国統一炭素排出権取引システム、 登録・決済システムは開発中とされている。

(注3)CCERは、中国のボランタリー市場の主要な商品で、プロジェクト単位で発行される。プロジェクトには、再生可能エネルギー、炭素隔離、メタン排出削減、省エネルギー効率の向上などがある。なお、ジェトロ作成の「中国における脱炭素に向けた取り組み・方法に関する調査(2023年3月)」に関連情報の記載がある。

(高橋大輔)

(中国)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください