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欧州市場のEV需要低迷、部品部門の雇用や投資にも大きな影響(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月27日 0時25分

2024年のEUの乗用車の新車登録台数は前年比0.8%増と低調に終わり、特に登録台数が初めて前年比マイナスとなったバッテリー式電気自動車(BEV)の販売不振が目立った(2025年1月24日記事参照)。影響はサプライチェーン全体に広がり、部品部門にとっても2024年は厳しい1年となった。

欧州自動車部品工業会(CLEPA)の2025年1月15日付の発表によると、EUの生産台数は依然として2019年〔新型コロナウイルス危機(以下、新型コロナ危機)以前〕の水準に戻っておらず、2024年は前年より約70万台少ない見通しだ。生産減少に加え、高止まりしているエネルギー価格やインフレを受け、欧州産部品の競争力は低下している。結果、同部門では2024年に、今後2~5年間で約5万4,000人の人員を削減する計画が発表された。これは、新型コロナ危機の影響を受けた2020年と2021年の合計の人員削減数(5万3,700人)の発表値を超える規模だ。同部門では電動化に伴い、今後15年間で22万6,000人の新規雇用の創出が見込まれるものの、最大で50万人の雇用喪失を予測する調査結果もあり、雇用維持への危機感は強い。

CLEPAとコンサル業のマッキンゼーの調査によると、企業の収益環境も年々厳しさを増している。2024年は全体の65%が新たな技術への持続的な投資を行うのに最低限必要な5%の収益維持が容易ではないとした。投資減退が顕著に表れたのが電気自動車(EV)部品関連投資だ。2024年の投資額は前年の約150億ユーロから約56億ユーロへと急減し、2019年以降で最も少なかった。CLEPAによると、2024年に少なくとも8社が欧州のEV用バッテリー事業を延期または断念するなど、多くの事業がEV需要の低迷に伴い、投資を縮小した。

CLEPAのベンヤミン・クリーガー事務局長は現況を踏まえ、欧州が自動車関連技術において主導的な立場を維持するためには、企業の資金調達環境の整備、投資支援や技術中立性の原則に立った規制が必要不可欠、と指摘する。また、欧州委員会は自動車部門の不振に危機感を強め、自動車産業関係者との戦略的対話を立ち上げる(2024年11月28日記事参照)など、域内生産への支援や競争力の回復に取り組む方針だ。

(滝澤祥子)

(EU)

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