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米USTR、サブサハラ諸国に対する特恵関税制度「AGOA」報告書を発表(米国、アフリカ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月2日 11時45分

米国通商代表部(USTR)は6月28日、アフリカ成長機会法(AGOA)の施行状況に関する報告書を発表した。

AGOAは、米国とアフリカ・サブサハラ地域間の貿易投資の拡大や、同地域の持続可能な経済成長の促進などを目的に、2000年5月に施行された。同法に基づき、2024年7月時点で、同地域49カ国のうち米国が受益国に指定する32カ国(注1)の6,800以上の品目(注2)に対し、米国への輸入時に無関税などの特恵待遇を供与する。また、USTRは同法に基づき、年次フォーラムの開催や(注3)、米国とアフリカ間の貿易投資動向、AGOA受益要件に含まれる各国のガバナンスや人権・知財保護などの取り組み状況、受益国の見直し結果など、同法の施行状況についての報告書を隔年で連邦議会へ提出することが義務付けられている。今回の報告書は、2022年7月~2024年6月を対象期間としている。

報告対象期間中、AGOAを通じた2023年の米国の財輸入額は97億ドルで、2021年の68億ドルから増加した一方、2022年の102億ドルからは減少した。品目別では、原油(42億ドル)が最大で、自動車(19億ドル)、アパレル(11億ドル)、合金鉄(3億ドル)、宝飾品(2億5,800万ドル)が続いた。国別には、ナイジェリア(38億ドル)が筆頭で、南アフリカ共和国(36億ドル)、ケニア(5億1,000万ドル)、ガーナ(3億4,000万ドル)、マダガスカル(3億3,900万ドル)が続いた。

報告対象期間中の受益国の見直し結果については、2023年1月のブルキナファソの除外(2022年11月4日記事参照)、2024年1月の中央アフリカ共和国、ガボン、ニジェール、ウガンダの除外およびモーリタニアの復活(2023年11月8日記事参照)について解説した。ブルキナファソ、ガボン、ニジェールは「違憲状態の政権交代」があったこと、中央アフリカ共和国とウガンダは「人権に対する重大な侵害」があったことにより受益要件を満たさなくなったとした一方で、モーリタニアは労働者の権利に関する懸念に関して前進したなどと、各国の除外・復活理由を総括した。

現行のAGOAの有効期間は2015年6月に成立した貿易優遇措置延長法(TPEA)に基づき、2025年9月末までとなっている。USTRのキャサリン・タイ代表は、AGOA施行以降の20年間でアフリカや世界経済は大きく変化したとし、今回の報告書について「政権、議会、アフリカのパートナー国、関係者が、経済規模の小さい国のAGOA利用率を向上させつつ、(AGOAを)不平等の拡大、サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性、気候危機といった今日の問題に対応したより効果的なプログラムにするためにはどうすればよいかを検討するための出発点となる」と述べた。なお、ジョー・バイデン大統領は2023年11月にAGOAに関する声明を発表し、延長への支持を表明している。また、連邦議会でも、AGOA有効期間を2041年9月30日まで延長する法案が提出されている(2024年5月21日記事参照)。

(注1)受益国の一覧はUSTRウェブサイト参照。

(注2)AGOA受益対象国からの米国への輸入については、AGOAに基づく1,800以上の品目に加えて、一般特恵関税制度(GSP)に基づく5,000以上の品目に対しても、特恵関税が供与される。なお、GSPは2020年末に失効しているが、AGOA受益対象国からの米国輸入に対してはGSPに基づく関税減免措置も引き続き適用可能。GSPについては2023年5月22日付地域・分析レポートも参照。

(注3)USTRは7月1日、第21回米国・サブサハラ・アフリカ貿易経済協力フォーラム(AGOAフォーラム)を7月24~26日に米国の首都ワシントンで開催すると発表した。

(葛西泰介)

(米国、アフリカ)

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