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パイス税が廃止、物価抑制の後押しに(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月21日 0時20分

添付資料PDFファイル(88 KB)

アルゼンチンで、2024年12月22日をもって社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税(通称:パイス税)が廃止された。同税は、外貨の購入に対して課税される税金で、2019年12月のアルベルト・フェルナンデス政権の発足時に導入された。当初は、居住者による外貨購入や国外でのクレジットカード・デビットカードを使った買い物、国際航空券の購入などを目的とした外貨の購入に対して課税していたが、2023年7月以降は財、サービスの輸入代金の支払いに係る外貨購入にも課税するようになっていた(添付資料表1参照)。

パイス税は元々、5課税年度に限って導入されたもの。現ハビエル・ミレイ政権が、前政権下で設定されたとおりに課税を終了したというのが実態だが、2024年の税収の6.1%を占めており、その割合は決して小さくない(添付資料表2参照)。これを延長せずに予定どおり廃止したことは、ミレイ政権が財政収支黒字を定着させた結果ともいえるだろう。なお、国外でのクレジットカード・デビットカードを使った決済にはこれまで所得税、個人資産税にパイス税30%を合わせた60%が課税されていたが、同税の廃止に伴い、税率は30%に低下する。

パイス税はあらゆる財の輸入に課税されるため、幅広い産業で原材料を輸入に頼るアルゼンチンでは、物価を押し上げる要因の1つとされてきたことから、廃止によって物価の抑制につながるとの見方が多い。

パイス税のほかに撤廃を求める声が根強いのが、穀物などに課税される輸出税だ。例えば大豆の輸出には33%の輸出税が課税されることから、農業部門はミレイ政権に対して同税の廃止を強く求めている。輸出税が占める割合は2024年の税収の5.9%と、これもそれなりに大きい。報道によると、ミレイ大統領は2024年12月初旬に農業部門に対して、2025年中に輸出税率の引き下げを実現すると公言しており、輸出税の廃止にも期待がかかる。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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