インドネシア、ペルーとのCEPA交渉開始、EUとのCEPA交渉には課題も(インドネシア、ペルー、EU)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月13日 1時10分
インドネシア商業省は5月30日、ペルーとの包括的経済連携協定(IP-CEPA)の第1回交渉会合を、5月27日から30日にかけてペルーのリマで開催したと発表した。両国政府は、同CEPA交渉を2024年11月までに妥結させるとした。IP-CEPAは2023年8月に両国の大臣間で同年末までの交渉開始を確認したものの交渉開始に至らず、2024年5月に第1回交渉会合の早期開始を表明していた(2024年5月24日記事参照)。
ペルーのエリザベス・ガルド・マリン通商観光相は、IP-CEPAは両国に利益をもたらすものだとしたうえで、「単に貿易面だけでなく、東南アジアにおけるペルーの存在感やラテンアメリカにおけるインドネシアの存在感を広げる」と強調した。本交渉会合でインドネシア政府代表を務めた商業省のジョニ・マルタ2国間交渉ダイレクターは、ペルーは潜在性の見込まれる新しい貿易相手だとし、「中南米におけるインドネシア産品の輸出のハブになる可能性がある」と期待を示した。
会合では、物品、原産地規則、税関と貿易円滑化、経済協力、貿易の技術的障壁、貿易救済、人間および動植物の健康保護、紛争解決、法的および制度的枠組みの分野の交渉が行われた。
EUとのCEPA交渉ではEU側の姿勢に不満も
インドネシアは、EUとのCEPA交渉を2016年7月に開始し、2024年中の妥結に向けて交渉を行っている(2024年3月14日記事参照)。21の章立てのうち11本の章について既に妥結(注)しており、経済担当調整大臣府のエディ・プリオ・パムムディ次官は「早ければ7月の次回交渉で妥結できる」との見方を示した(5月31日「アンタラ通信」)。一方で同次官は、「持続可能性や森林破壊の状況、またはニッケルの採掘など、EUが提示する議題と目標が交渉のたびに変わる」とし、「EU側の目標の対象と基準が、明確かつ一定でないこと」を交渉長期化の理由としてあげた。アイルランガ・ハルタルト経済担当調整相はこうしたEUの姿勢について、日本経済新聞社が5月23、24日に開催したフォーラム「アジアの未来」に登壇した際に、「EUは常にゴールポストを変えてくる」と発言した。
(注)物品、原産地規則、不正行為防止、サービス、投資、知的財産権、貿易と持続可能な開発、エネルギーと原材料、反競争的行為・合併規制・補助金、最終規定と例外の10の章が未妥結(2024年3月11日付、欧州委員会)。
(大滝泰史)
(インドネシア、ペルー、EU)
外部リンク
- 英野党・労働党、総選挙に向けたマニフェスト公表(英国)
- カルナータカ州産業相が訪日へ、東京で投資誘致セミナーも(インド、日本)
- 米FRB議長、FOMC後の会見で今後の利下げに慎重姿勢示す(米国)
- 欧州委、中国製BEVへの暫定相殺関税措置の概要を事前開示(中国、EU)
- 米インフレ削減法、EV購入時の割引額が半年弱で10億ドルに到達(米国)
- 発動済み通貨スワップ協定枠の更新で中国人民銀行と合意(中国、アルゼンチン)
- キッコーマン、米ウィスコンシン州で新工場の地鎮祭開催(日本、米国)
- ポーランド欧州議会選挙、市民連立(KO)が10年ぶりの勝利(ポーランド)
- ベルギー総選挙、極右が伸長も圧勝には至らず、連立交渉は難航が予想(ベルギー)
- 物価指数が約2年ぶりに下落、外貨準備高は461億ドルに回復(エジプト)
この記事に関連するニュース
-
第3回タイ・EU FTA交渉と第7回ACFTA 3.0交渉実施(ASEAN、タイ、EU、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月16日 0時25分
-
第64回メルコスール首脳会合、新たな通商協定締結に向け議論(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月9日 13時20分
-
香港と中国、CEPAのサービス貿易自由化拡大に向けた協議妥結(香港、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月9日 0時20分
-
USMCAの2026年見直しについて議論、米シンクタンク(米国、メキシコ、カナダ、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月28日 13時0分
-
世界の政治・経済日程(2024年7~9月)(世界)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月28日 0時0分
ランキング
-
1米民主重鎮、決断を称賛=ハリス氏支持で対応分かれる―バイデン氏撤退
時事通信 / 2024年7月22日 9時50分
-
2パリ五輪、4355人を「脅威」として排除 仏内相明かす、大会の治安対策で
産経ニュース / 2024年7月22日 11時27分
-
3北朝鮮エリートの脱北ラッシュ、なぜ外交官なのか…海外生活で「目覚めた」
KOREA WAVE / 2024年7月22日 16時30分
-
4バイデン氏の撤退決断、米主要紙が評価 「勇気ある選択」「米国の最良の利益」
産経ニュース / 2024年7月22日 19時34分
-
5バイデン氏大統領選からの“撤退表明” トランプ氏「いんちきジョーは最悪の大統領」とSNS投稿
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月22日 11時43分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)