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英政府、長期エネルギー貯蔵プロジェクトに対する新たな支援スキームを発表(英国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月18日 0時40分

英国政府は10月10日、長期エネルギー貯蔵(LDES)プロジェクトへの投資に対する新たな支援スキームを発表した。

現在、英国には合計2.8ギガワット(GW)のLDES施設が稼働している。これらはスコットランドとウェールズに位置する4つの揚水発電所で、1963年から1984年にかけて運転開始されたものだ(注)。

今回のスキームの導入により、高額な初期費用などといった障壁を取り除き、約40年ぶりに大規模なLDESの開発を見込む。複数のプロジェクトが開発中で、そのうちのいくつかは2030年までに運用開始が予定されており、それらの実現にも貢献する。  

国際連系線プロジェクトで採用されている、キャップアンドフロアと呼ばれるスキームを導入する。特定のLDESプロジェクトについて、事業者の収入に上限および下限を設定、事業者の収入が上限を超えた場合、事業者は需要家に超過額を還元し、収入が下限を下回った場合は、需要家がその不足額を負担する仕組み。申請区分は技術の成熟度に応じて次の2つに分かれる予定。

ストリーム1(確立された技術):技術成熟度(TRL)9(9段階の最高水準)、エネルギー供給時間が最低6時間かつ容量は最低100メガワット(MW)。揚水発電や液化空気エネルギー貯蔵(LAES)が対象
ストリーム2(新技術):TRL8、エネルギー供給時間が最低6時間かつ容量は最低50MW。圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)、LAES、フロー電池

このスキームは、ガス・電力市場局(Ofgem、エネルギー部門の規制機関)によって運営され、2025年に第1ラウンドが実施される予定。なお、さらに技術成熟度が低いTRL4-7のプロジェクトについては、2021年に長期エネルギー貯蔵実証プログラムを立ち上げ、6,950万ポンド(約135億5,000万円、1ポンド=約195円)の資金を提供してきた(詳細は、2024年4月3日調査レポート「英国における蓄電池ビジネス動向」参照)。

政府の分析によると、20GWのLDESを導入することで、2025年から2050年までの間に電力システムにかかる費用を240億ポンド(約4兆6,800億円)削減することが可能としている。また、国家エネルギーシステムオペレーターは、2050年までにネットゼロを達成するには、合計11.5~15.3GWのLDESが必要になると推定している。

(注)揚水発電は、夜間など電気の使用量が少ない時間帯に余剰電力で揚水ポンプを動かし、水を低いところから高いところにくみ上げ、日中など電気が必要な時間帯にくみ上げておいた水を落として、水車を回して発電する方式。

(奈良陽一)

(英国)

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