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2024年の東南アジア6カ国のデジタル経済、2桁増と試算(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月8日 10時30分

米国グーグル、シンガポール政府系投資会社テマセク、米国コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーは11月5日、東南アジア6カ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)のデジタル分野の動向をまとめた報告書「e-Conomy SEA 2024」を発表した。2024年のデジタル経済の市場規模を示す流通取引総額(GMV)は前年比15%増の2,630億ドルと試算した。

GMVの対象は、(1)電子商取引(EC)、(2)旅行(航空、ホテルなど)、(3)食品(フードデリバリー)・運送、(4)オンラインメディア(広告、ゲーム、映像、音楽)の4分野。全体の成長を主導するEC(前年比15%増の1,590億ドル)について、「初めての買い物客が成長を牽引していた過去数年とは異なり、既存顧客が牽引している」(プレスリリース)との見解を示した。また、ECに占めるビデオコマースの割合が拡大(2022年:5%未満→2024年:20%)しており、「動画は今や人々がオンラインショッピングをする上で不可欠な要素」と指摘した。

本報告書は2016年に発表されて以降、今回で9版目。今回は、利益総額〔EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)〕報告書を試算した。「手数料の引き締め、ターゲットを絞ったインセンティブ、広告などの新たな収益源により、利益は過去2年間で2.5倍に増加した」と分析した。

デジタル経済関連の民間資金調達は2017年以降、2021年(270億ドル、2,697件)をピークに減少。2023年(80億ドル、883件)は、2022年(220億ドル、2,080件)の水準を下回った。2024年上半期(30億ドル、306件)も、2023年上半期(40億ドル、564件)、2023年下半期(40億ドル、319件)と同等かそれらを下回る。民間資金調達が依然として抑制されていることに関し、「金利の上昇、地政学的な不確実性、根強い経済課題などが、域内全体の取引量の減少につながっている」との見方を示した。

民間資金調達の分野には、既出4分野以外にも、ソフトウエア・サービス、サステナビリティテクノロジー、Web3などの「新興分野」なども含まれる。資金調達額に占める新興分野の割合は2021年(33%)以降、2022年は42%、2023年は46%と年々拡大。2024年上半期も46%を占めた。資金調達額に占める新興分野の割合が50%近くを占めていることに触れ、「投資家は東南アジアの長期的な可能性に自信を持っている」とした。

(朝倉啓介)

(ASEAN、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)

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