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全国賃金評議会、低所得者を対象に5.5~7.5%の賃上げ勧告(シンガポール)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月15日 11時20分

シンガポールの政労使代表で構成する全国賃金評議会(NWC)は10月11日、2024~2025年度(2024年12月1日~2025年11月30日)の賃金ガイドラインを発表した。経済見通しの改善を受けて、業績の好調な事業主に対し、総月給2,500シンガポール・ドル(約28万5,000円、Sドル、1Sドル=約114円、注)以下の「低所得者」について、総月給の5.5~7.5%、または100~120Sドルのいずれか高額な方への賃上げを勧告した。NWCは前年度には5.5~7.5%、または85~105Sドルのいずれか高額への賃上げを勧告していた(2023年11月2日記事参照)。

NWCは、人材省や全国労働組合会議(NTUC)、シンガポール国家雇用者連合(SNEF)、外国商工会議所などの代表で構成し、景気や雇用市場の動向、経済見通しなどを考慮して、その年度の賃金改定の指針となるガイドラインを毎年発表している。NWCは低所得者の定義について、フルタイムの国民(永住権者を含む)の総月給の下位20%と設定している。

また、NWCは業績の良い事業主に対しては、全ての従業員を対象に、業績と従業員の貢献に応じた基本給と可変給(業績に応じて変動する給与)の引き上げを求めた。業績が低迷した事業主に対しては、経営層が見本を示すかたちで賃金の抑制を行うよう、勧告した。

NWCは、雇用主と従業員が毎月、月給の一部を積み立てる中央積立基金(CPF)の対象となる月給上限が国民の賃金上昇を受けて、現行の6,800Sドルから2026年までに段階的に8,000Sドルに引き上げられることを指摘。雇用主に対して、賃金の引き上げに当たっては、CPFへの拠出負担の増額も考慮するよう促した。

NWCの賃金ガイドラインは、幹部、専門職、技術者、一般社員と全ての労働者に対し、NTUC傘下の労働組合に所属しているかどうかにかかわらずに適用される。同勧告の全文は人材省ウェブサイトを参照。

(注)総月給は基本給、可変給、食事や住宅などの手当、インセンティブ、残業代を含むが、賞与と年間給与補助(AWS、13カ月目の給与)は含まれない。また、中央積立基金(CPF)の従業員の負担分を含むが、雇用主のCPF負担は含まない。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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